画像生成AIを使って、どんな絵でも描ける時代になりました。
描きたい絵をテキストで表現すれば、それっぽい画像が生成される。
その指示(プロンプト)として記入する表現の一つに、「○○風」というものがあります。
「ピカソ風」とか「浮世絵風」といったように。
AIが、ネット上の画像などから情報をピックアップしてその要素を生成に取り入れているようです。
ではその要素とは一体なんなのか。
その片鱗でも知りたいなと思い、自分で描いた絵とAIが生成した画像を比べてみました。
「○○風」の必要性
僕は絵を描く人生を送ってきてますが、小学校の頃から「○○の絵を描いて」とよく頼まれていました。
『キン肉マン』を描いて、『ドラゴンボール』を描いて、と。
それから20年ほど経ち、あるとき仕事で僕の提案が通り、資料に「アメコミヒーローっぽいイラストを使おう」ということになりました。
それまでは、例えば『ドラゴンボール』の悟空を見て真似して描けばよかった。
ところが仕事ではそうはいきません。
著作権に引っかかります。
そこで「○○風」という発想が登場します。
自分ならどんな要素を抽出するか
アメコミヒーローを描きたい。
いや、アメコミヒーロー「風」の絵を描きたい。
探せばあるもので、当時、紀伊国屋書店で次の書籍を購入しました。
『アメリカン・コミック・イラストレーション・テクニック』
![](https://wepress.web-magazine.jp/wp-content/uploads/2023/10/105_1.jpg)
![](https://wepress.web-magazine.jp/wp-content/uploads/2023/10/105_2.jpg)
多くのテクニックが紹介されていましたが、自分なりにポイントを絞りました。
それは次の3つ。
・動き、表現は徹底的に大げさに。
・筋肉のつき方は、ワンパターン。
・陰影をくっきりはっきり。境界線はギザギザに。
要素を元に描いてみた
それら3つの要素を元にして、当時描いたのがこちら。
![](https://wepress.web-magazine.jp/wp-content/uploads/2023/10/105_3.jpg)
Adobe Illustratorを使い、マウスで苦労して描いたのを覚えています。
時代は変わり、今はiPadとデジタルペンがあります。
改めて思い出しながら描いてみました。
![](https://wepress.web-magazine.jp/wp-content/uploads/2023/10/105_4.jpg)
デジタルってなんて楽なんだ!と感心しつつも、以前描いたものと微妙にタッチが異なります。
デジタルで描くと、細かい”線のゆらぎ”のようなものが洗い流されてる気がする。
いや、それは単に、デジタルペンに使い慣れてないだけなのか。
AIで画像生成してみた
ここで、画像生成AIに登場してもらいます。
比較のために、当時描いた絵の方向性を再現してもらうべく、次のようなプロンプトを記入しました。
『金髪のマッチョな30代の白人男性の顔、ブルーの開襟シャツを着ている、アメコミ漫画風に』
さあどうだ!
・・・
![](https://wepress.web-magazine.jp/wp-content/uploads/2023/10/105_5.jpg)
「虚をつかれる」というのはこういうことを言うのだと思います。
そうか、今のアメコミは3DCGなんだ・・・。
軽くショックを受けつつ、別の画像生成AIでもトライしてみました。
イラスト系に強いと言われているLeonardo AIで生成したのがこちら。
![](https://wepress.web-magazine.jp/wp-content/uploads/2023/10/105_6.jpg)
そうそう、こういうのです、こういうの!
まとめ
現在アラフィフの僕とAIで、世代間ギャップが生まれてる、ということに衝撃を受けました。
「アメコミ風」という言葉ひとつとっても、何人か集まるとそれぞれが思い浮かべているものは異なる。
となると、AIがあるからといって、人々のコミュニケーションが不要になることはありませんね。
こうやって「こういう時は自分はこう思う」という視点が、今後重要になっていくのだと考えています。
また、別のタッチの絵も分析してみたいと思います。