さいたま市に住むようになって17年目。
僕が気に入っているのが図書館です。
ChatGPTに衝撃を受ける時代に、図書館ってどうなのか。
最低でも2週間に一度は足を運ぶ、図書館ラバーの僕がその魅力を書いてみます。
- 目次
- 図書館の魅力 (1)情報に出会える
- 図書館の魅力 (2)長年のレビューがついている
- 図書館の魅力 (3)くつろげる
- 図書館の効果効能:能動的な情報の取捨選択ができる
- さいたま市図書館について(1)国内第3位の蔵書数
- さいたま市図書館について(2)ネットで予約ができる
- さいたま市図書館についての余談(1)アンケート結果
- さいたま市図書館についての余談(2)個人的なあれこれ
- まとめ
図書館の魅力 (1)情報に出会える
誰からも何の強制を受けることなく、情報を探すことができる。
これが図書館の最大の魅力であり、AIとの一番の違いではないかと思います。
今は情報を得る手段はいくらでもあります。
しかし、その多くが「第三者による押しつけ」になっている。
ネット検索は、アルゴリズムによって提供される内容が変化します。
使用者の過去の履歴などによっても表示は変わりますが、逆にいうと、その人にとって「まったく検討すらしなかったもの」は表示されにくい。
Amazonなどネットで探す書籍もまた、「過去の自分自身」に縛られています。
大型書店も悪くはありませんが、どうしても「売れ筋」「話題」「新しい」ものが前に出てくる傾向は否めません。
一方で、図書館は書籍が「ジャンル別」「あいうえお順」のみで配置された場所。
大型の書架のあいだをさまようことで、思ってもみなかった本に出会えます。
時間に余裕があれば、ひと気のないコーナーに迷い込むのも面白い。
世界の地図とか、洋書コーナー、文学全集のコーナーなどはひっそりとしていてむしろ清々しい。
僕は意図的に、未踏未開の棚はないようにしています。
図書館の魅力 (2)長年のレビューがついている
Amazonなどネットショップに付き物の「レビュー」。
今は、これをもとに買うかどうか判断することが多いですよね。
図書館の本にも、実は”レビュー”がついています。
それは、本の汚れ具合。
人気の小説、多くの人に手にとられてきた書籍は、露骨に汚れているのです。
僕の肌感ですが、小説は特に、汚れ具合と面白さは比例しています。
ネット上の情報はパッと見、すべてが均等で、新しいのか古いのかも判断がつきません。
(注:例えばアプリの話なら、見た時点での最新バージョンの話なのかどうかがわかりづらい、という意味)
図書館の本は、古いのか新しいのかが、如実に伝わってくるんです。
ただ、新しくできた図書館は別の意味で狙い目です。
10年ほど前に開館した武蔵浦和図書館に行った時、建物だけでなく、書籍がどれも新しいことに感動したことがあります。
大型の単行本や、新潮文庫などには、しおり代わりの「紐」がついています。
誰も触れていない本をめくるとき、この「紐」をペリリ・・とはがすような気持ちになる。
スキーヤーもパウダースノーを滑るのが魅力だと聞きます。
同じような感じじゃないでしょうか。
図書館の魅力 (3)くつろげる
図書館はくつろげる空間です。
アクセスしやすい場所にある図書館も多いですし、他の施設と隣接していて別の用事と抱き合わせにもできます。
また、新しい建物の場合はトイレがきれいなのもポイントが高い。
(ただしその分、競争率も上がる)
キッズスペースがあったり、絵本や紙芝居も充実している図書館は、子供連れでも楽しめます。
さいたま市の中央図書館は、空中庭園に本を持って出ることができます。
人工芝?も敷き詰められていて、靴を脱いでくつろいでる人をよく見かけます。
そして、図書館はとても安心できる空間でもあります。
図書館利用者カードは年に一度確認が入り、利用者の個人確認もされている。
騒ぐ人もいませんし、あちこちに図書館員さんの目もあります。
静かで勉強に集中しやすいためか、自習コーナーは常に満席ですね。
図書館の効果効能:能動的な情報の取捨選択ができる
「魅力」なのかどうか怪しかったので別枠にしました。
図書館の利用は正直、面倒くささがあります。
しかしその面倒くささのおかげで、情報の取捨選択が<能動的>になります。
便利な情報社会は<受動的>になりがちなため、これは大きな効果効能ではないかと思うんです。
借りた本の返却が遅れると、ハガキが届いて急かされます。
買った本は積読(つんどく)になりがちですが、図書館の本は返す日が決まってるので読んでしまえます(もしくは読むのを諦める)。
これも能動的な行動でしょう。
先日、こんな本を読みました。
『ネット右翼になった父』鈴木大介 著 2023年1月講談社
(新刊なので書店で買いましたが、図書館にもあります)
ルポライターの著者が、晩年ヘイトスピーチなどを口にするようになっていった自身の父親について追いかけた本。
情報に対して受け身になったりファクトチェックを怠ったりするようになると、似たような言説ばかり入ってくるようになり、特定の情報にだんだん染まっていくことがリスクだ、と著者は書きます。
そういう点で、図書館の「面倒くささ」は必要悪なんじゃないかと思ったりします。
なお本書、なぜ父親が”こうなった”のか、誰が”こうした”のかを探っていくものがたりになっていて、友人知人、家族へのインタビューを経て、著者が辿り着いたのは意外なことだった・・・という、まるでミステリー小説のような楽しみ方ができます。
さいたま市図書館について(1)国内第3位の蔵書数
ここまでは一般論としての図書館をまとめてきましたが、ここからはさいたま市の図書館について触れていきます。
Wikipediaによると、こんな魅力的な一文に出会います。
『さいたま市図書館は、(中略)市内に25の常設図書館を有し、(中略)蔵書数は市町村図書館の中では横浜市立図書館、大阪市立図書館に次いで国内第3位である』
読みたい本はたいてい見つかる、と考えていいのではないでしょうか。
そして25カ所もあるため、市内の人はみな「お近くの図書館」が見つかるんじゃないかと思います。
さらに、『上尾市・川口市・戸田市・蕨市・川越市・春日部市・蓮田市・白岡市・伊奈町の在住者であれば、さいたま市民と同様に図書館のサービスを利用できる』というのも太っ腹ですね。
さいたま市図書館について(2)ネットで予約ができる
僕が図書館に頻繁に通うようになったのは、ネット予約を知ってからです。
さいたま市図書館サイト
https://www.lib.city.saitama.jp/
ネットで蔵書の検索・予約・延長などができます。
スマートフォン対応。
市内など、使える範囲内であればどこからでも借りて返せます。
めちゃくちゃ便利です。
ちなみに返却方法ですが、多くの図書館で人力な一方、中央図書館には自動返却機があります。
機械に書籍が吸い込まれていく感じが好きです。
また、「返却ポスト」の場所を確認しておくといいでしょう。
図書館が休みでも返せます。
特に中央図書館は、建物の8階まで上がらなくても1階の外にあるので楽チン。
このページで電子書籍も扱っており、たまに検索したりします。
電子書籍にも「予約」とか「期限」の概念があるのはちょっと新鮮でした。
「予約」は同時接続数の確保のため、また「期限」は管理のため、と理解しています。
さいたま市図書館についての余談(1)アンケート結果
毎年、利用者アンケートをとっているようですね。
『令和4年度 さいたま市図書館の利用に関するアンケート集計結果について』
https://www.lib.city.saitama.jp/contents?2&pid=7435
・一番多い利用者層は70代(29.9%)
・見沼区在住の利用者が一番多かった(22.6%)
・66.6%の人が予約して読んでいる
といったようなことがわかります。
さいたま市図書館についての余談(2)個人的なあれこれ
個人的なできごとを箇条書きでご紹介します。
・本の中に、他人の貸し出し票がたまに挟まったままになってて、「何と一緒に借りてるのか」を見るのが面白い。
・上下巻を予約したら、下巻だけ先に来て困った(今は同時予約はしないことにしている)。
→話題作であっても、上巻が汚れてて下巻がきれいなものは、たいてい途中から面白くない。
・人気の本は予約の数百人待ち(軽く1年以上)はザラ。
・自分の著書が置いてあるのを見つけたときは、しみじみ嬉しかった。
まとめ
AIが凄まじい勢いで進化する今も、図書館は図書館なりの価値があり、すみわけはできると考えています。
ChatGPTにさいたま市の図書館について聞いてみました。
<ChatGPTよりも図書館が優れていること>()は僕の注釈です。
→図書館は、情報源の信頼性(ChatGPTはウェブ上に限られる)や調査支援(専門的な資格を持った司書や研究員による)、アウトリーチ活動(イベントや講演会など)、公共的なアクセス、物理的な場所や空間など、多くの点でChatGPTよりも優れていると言えます。
<図書館よりChatGPTが優れていること>
→即座の回答が可能・膨大な情報・24時間365日対応・無料で利用でき返却義務もない。
ChatGPTが図書館よりも優れている点はありますが、情報の正確性や深さなどにおいては、図書館のほうが優れていることもあります。また、図書館とChatGPTは互いに補完しあう存在として、情報収集や研究などに活用することができます。
ChatGPTも、「互いに補完し合う存在」だと言ってますね。
謙虚さがにくい。
筒井康隆の『にぎやかな未来』という短編があります。
便利なもので溢れる近未来社会は、同時に広告だらけの騒音の世界でもある。
主人公はふらっと入ったお店で、「一番高額な音楽が欲しい」と店員に伝える。
店員が取り出したのは「無音の音楽」だった、という寓話。
繰り返しになりますが、僕の考える図書館の最大の魅力は、「誰からも何の強制を受けることなく、情報を探すことができる」こと。
そして、これはとても贅沢なことになりつつあるんじゃないかと思うんです。
今回はさいたま市図書館の話題が中心でしたが、みなさんもお近くの図書館に足を運んでみてはいかがでしょうか。