映画制作は比較的早い時期からデジタルを活用するようになりました。アメリカが本気だからでしょう。先ず軍事、次にエンタテイメント。ほら、アメリカっぽい。
もはや全くデジタル機器を使わない映画制作の現場はないと言っていよいと思いますが、発展著しいのはポストプロダクション(注1)におけるCGの活用です。
CGという表現手法を広く一般に知らしめたのは『ジュラシック・パーク』(1993年スティーブン・スピルバーグ監督)でした。当初、この映画は恐竜をアニマトロニクスとストップモーションアニメで描くことが予定されていましたが、テストで作ったCGのティラノサウルスの動きがぬるぬるで、スピルバーグ監督がCGでの制作を決めたと言われています。僕としてはカクカク動くストップモーションアニメが好きなのですが、スピルバーグ監督の性格的に、CGになりましたね(スピルバーグ監督の性格:誰も見たことのない画を撮りたい)(個人的な性格予想です)。
かの有名な、ヴェロキラプトルのシーンをストップモーションで作ったテスト版の映像を見つけました。
いやー怖いですね。ジュラシックパークはCGが有名ですが、実は恐竜みたいなもの(恐竜さん、すみません)にキャラクターを与えて描き分けたところが画期的だったと思います。それを可能にしたのがCGだった、という似ているようで別の話です。ここポイントです。
例えば、伝説のストップモーション技士レイ・ハリーハウゼンが『シンドバッド七回目の航海』(1958年ネイサン・ジュラン監督)で撮った「一つ目の怪人サイクロプスvs.双頭の巨鷲ロック鳥」の戦いは、このシーンだけが2時間あっても見続けられるほど楽しいものですが、サイクロプスみたいなもの(サイクロプスさん、ごめんなさい)には暴れる化け物という以外のキャラクターがありません。ハリーハウゼン大好きですが、スピルバーグ監督はやはりスピルバーグっていうだけありますね。
世界で初めてCGを導入した映画作品は『トロン』(1982年スティーブン・リズバーガー監督)だと答える方が多いと思いますが、ここで『スター・ファイター』(1984年ニック・キャッスル監督)と答えると玄人っぽいかと思います。『トロン』がワイヤーフレームから成る、いかにもな仮想空間を描くのにCGを使ったのに対し、『スター・ファイター』は宇宙空間や戦闘機を描くのにCGを使ったので、実写に置き換え得るところでCGを初めて映画に導入したという意味で、『スター・ファイター』が世界初のCG映画です。