ジンバル、人気ですね。
ジンバルは、内部に仕込まれたモーターが水平をキープし、安定した撮影ができる機材。ジンバルには別の意味もありますが、ここではカメラ・撮影で使用される機材のこととします。
スマートフォンや一眼レフなどを取り付けて使います。
観光地などでも、こんなの見かけたことないでしょうか。
ジンバルを使えば、歩きながらでもスムーズな映像が撮れてしまいます。
さて、これからジンバルを購入というなら、どうやって選べばいいのでしょうか。
動画制作会社やプロカメラマンなどは、さっさと業界標準の機材を買います。
しかし、「ちょっと使ってみたいな」というレベルの個人や中小企業なら、できるかぎり安価なものを探したいと考えるでしょう。
ところが今、このジンバルが広く知れ渡ったために種類が増え、また、「スタビライザー、ステディカム、3軸電子制御、手ぶれ補正」など似たような意味の言葉も溢れる状況になっています。
そこで、言葉の意味、注意点、そしてこんな選択肢がある、といった情報をまとめてみたいと思います。
スマートフォン用をメインに書きます。
* * * *
そもそもなぜジンバルが必要なのか?
僕は1994年に映画づくりを開始したのですが、撮影を始めてすぐ、困ったことに気づきます。
それは、「役者が歩きながら話すシーン」や「追いかけるシーン」の撮影ができないことです。
カメラマンも歩いたり走ったりして撮ることになるため、映像がブレて使い物にならない。
当時、いろんな方法を試しました。
・バイクの後ろにカメラマンを乗せて走ってみたが、バランスをとるのに必死で上手く撮れない。
・車イスも室内ならいいが、土手などガタガタ道ではやっぱりブレるし、そもそもアングルが低い!
・車に乗って窓から身を乗り出して撮ってみたが、広い道路がある場所は限られる。そしてブレる!
・当時のカメラの「手ぶれ補正」機能は正直、満足いくレベルではなかった。
カメラワークの天敵は、移動しながらの撮影だったのです。
結局一番マシだったのは、自転車に乗りながら片手で撮影することでした。
このシーンでは、僕が自転車で並走しながらカメラを回しています。
スタビライザーに注意
僕は映画『ロッキー』が好きで好きでたまらないのですが、主人公が階段を駆け上がるシーンが有名です。その階段を駆け上がる撮影に使われたステディカムという機材があります。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/1/16/John_E_Fry_Steadicam_Operator_UK.jpg
(wikipediaより)
これはカメラを支点で支えつつ、下の重りでバランスをとりながら撮影するもの。
<ステディカム=物理的にバランスをとって安定させる器具>
これは買うなんてとんでもなく、レンタルでも高いので、友人に頼んで作ってもらいました。
これを撮影に使ったところ・・・重いこと重いこと。
10メートルとか走れないし、やり直しをしているとオペレーターの機嫌がどんどん悪くなっていく。
そして、やっぱりゆったりと映像が揺れてしまう。
カメラをやじろべえに載せているような状況なのです。
ここで、「スタビライザー」という言葉を紹介します。
カメラを安定させる機材は、広くスタビライザーと呼ばれるようです。
これは注意が必要。
ただのプラスチックのハンドルや、身体に密着させて安定させるタイプも、スタビライザーと呼ばれます。
これらは、「自分でしっかり持って安定させてね」ということなので、今回取り上げているような目的とは異なるでしょう。
月日は流れ、カメラの小型化に伴い、スタビライザーも小さくなりました。
また比較的手の届く金額になり、そして晴れて購入したわけです。
これは、
<重りでバランスをとるタイプのスタビライザー>
という表現が正しいかと思います。
この機材は、重りも調整できるので、いろんな大きさのカメラに使えます。
これは重宝しました。
しかし、どうしてもある程度の揺れは許容しなければなりませんでした。
そして、ジンバル登場!
最初に買ったのは、アクションカメラGoPRO用でした。
ジンバルの電源を入れると、カメラがピタッと静止します。
最初は「おお」と声が出ました。
<ジンバル=モーターが水平を制御してくれる機材>
その機構のことを、3軸電子制御と表現している製品もあります。
まあ、ジンバルのこと、という認識でいいでしょう。
ジンバルにつけると、上下に動かしてもほぼブレはありません。左右に動かすと、ゆっくりと追随します。
ジンバルはいろんなサイズのものがあり、取り付けるカメラによって使い分けることになります。
当然、カメラが大きいほど、ジンバルも大きく、重くなっていきます。
せっかくなら大きなものを、と考えてしまいますが、一番レフ用になると両手で持たないとかなり重く、長時間使うのはしんどい。
スマホ用ジンバルくらいが、片手で持てて使いやすいと思います。
ところで、このジンバルで撮ったものは「ヌルヌル映像」と呼ばれ、人によっては苦手だという声もあります。
また、良くも悪くもカメラの動きが固定されており、サッと横を撮りたくてもゆっくりとカメラが追随する。
だから、とっさの動きが撮れないのです。
ステディカムとジンバルの間の子、電動ステディカム
これは!と思って入手した機材です。
上下の動きは電動で制御し水平をキープ。
左右の動きは重りのバランス制御。
つまり、指で自由にカメラを左右に動かすことができます。
アクロバティックな撮影ではこれを使うことになると思います。
最近はスタビライザー機能が内蔵されるようになった
ジンバルなどの機材を使わなくても、カメラ本体がブレない機構になっている。
<ジンバル・スタビライザー内蔵型>
<スタビライザー搭載>
などという表現が使われます。
最近話題のInsta360GOなどがそれに該当し、小さいのにブレません。
Insta360シリーズはいろいろありますが、このGOはマグネットで服などに気軽につけることができ、手で持つ必要すらなくなったという部分を僕は評価しています。
まとめ
スマートフォン用のジンバルは本当にオススメですし、スマホでの撮影が多くの方にとってスタートしやすい。
ジンバルは、中国製の安価で良質なものも増えています。
1万円を切るような価格帯のものも。
大型の家電量販店にはジンバルの専門コーナーもあります。
実際に触って確かめてみてください。
同時に、その機材を使って撮った映像をYouTubeなどでチェックしてみる。
ただし、いくらジンバルが優れているとはいえ、「ブレがゼロになる」わけではありません。
気になる人はどんな機材を使っても何かしら不満は出るでしょうし、
気にならない人はジンバルすら必要ないかもしれません。
機材の進歩は激しく、今後もさらに変化していくでしょう。
撮るあなた自身がどこまで求めるのか。何を伝えたいのか。
そんなことも気にかけてみてくださいね。
あと、今回の記事を書きながら、僕にとって一番のスタビライザーは自転車だということに気づきました。