VRゴーグル。
存在自体は珍しくなくなったものの、しかしそれほど一般に普及しているとは言えない状況です。
こればっかりは試してみるしかない、ということで、実際に入手して触ってみました。
そもそも、VRゴーグルの魅力がピンとこない
「VRの何が面白いの??」
という大きな疑問がありました。
想像はできるんです。
例えば、
・ジェットコースター映像は面白そう。
・ホラー映像も面白そう。
・高い場所を歩く映像も楽しそう。
・隣に女性がいる(アイドルでもホラーでも)状況も面白そう。
しかし、どれも<びっくり箱>程度の話。
興味あったのは、VRゴーグルそのものよりも、「一体、何に使えるのか?」という活用方法でした。
まず、買ってみた
買ったのは、Meta社の『Oculus quest(オキュラス クエスト)2』。
おそらく、ザ・スタンダードの一つだと思います。
購入前にいろんなオススメ情報を見て、採用したものを挙げておきます。
・容量は128 GB(コンテンツのダウンロードのため)
・付属のヘッドストラップがダメなので、サードパーティーのヘッドストラップを追加購入する
・度入りのレンズを追加購入する(メガネをした状態でかぶるのはきついので)
・長時間装着すると熱がこもってレンズが曇るため、サーキュレーターを追加購入する
なんだかんだ、結構な出費(約7万円)となりました。
しかも、後で「よかった!」と思ったのは「度入りレンズ」のみです。
後述する理由により、僕はVRゴーグルを長時間使用することができず、コンテンツもあまりダウンロードしないし、短時間利用のためヘッドストラップに快適さを求めないし、レンズが曇ることもなかったためです。
続いて、遊んでみた
実際に操作してみた体験と感想を時系列でまとめます。
(1)電源を入れてすぐ大興奮!
目の前が、いや、目の周りが、見たことのない世界にパッと切り替わる。
「おー・・」と声が漏れました。
操作はすべて、両手に握ったコントローラーから。
ヘッドセットをつけているので実際に手元を見ることができません。
が、画面上には自分の手とコントローラーがイラストのように表示され、困ることはありません。
(2)大量のコンテンツに目移りする
いろんなコンテンツのサムネイルが並びます。
まるで、Netflixで映画やドラマを選ぶ感じ。
が、すぐに気づきました。
面白そうなのがどれも<有料>であることに。
ひとまず無料のコンテンツを視聴してみました。
最初に見たのはスカイダイビングの映像。
パッと画面が変わり、僕は小型飛行機の中に座っている。
風と振動音に加え、周りの話し声も聞こえる。
やがて飛行機から身を乗り出し・・・ダイブ!
次に見たのは、お約束のジェットコースター。
森の中をキョロキョロしながら歩いたり。
3Dではないものの、普通のYouTubeも大画面で見ることができます。
最後に、シューティングゲーム。
気づけばあっという間に30分が過ぎていました。
(3)酔った
ヘッドセットを外すと、なんだか頭がぐらんぐらんする。
まだ身体が浮いているような、世界が傾いてるような。
特に、最後のシューティングゲームは1分と持ちませんでした。
すぐに気分が悪くなる。
VR酔い、というらしいです。
なお、うちの息子は大喜びで長時間見てます。
体質?もあるかもしれません。
(4)広いスペースが必要
ある程度手足を振りまわす程度のスペースを確保してから開始する必要があります。
自宅のリビングは、ソファやテーブルなどで、スペースがあまりないことを再認識しました。
(5)その他
2022年までは、Facebookアカウントと紐づいており、Facebookでつながっている友人・知人の誰が『Oculus quest』を持っているかがわかります。
しかし、2023年初頭、その紐付きは解除されています。
そして、考えてみた
何度かVRコンテンツを試聴してみて、不思議なことに気づきました。
僕は高所恐怖症ですが、高いところの映像が大好きです。
先日、映画『FALL/フォール』を見まして、映画館でずっと手が汗でびっしょりでした。
普通の2D映画で、です。
<予告編>
https://youtu.be/_SPzyGKFix0
しかしVRで、スカイダイビングをしても、ハンググライダーで崖から飛び降りても、特に怖く感じなかったのです。
(「おー、すげー」とは思った)
この差は何か。
以前読んだ本の中にこんな一節がありました。
「リアリティーと没頭感は違う。没頭感のためには、単に綺麗な映像だけでは限界があり(飽きる)。何らかのイベントを仕込むことが必要(例:高所の映像だけでなく、高所で猫を助ける)」
これが正しいなら、映画はストーリーがあるから没頭感を得られる、ということなのかもしれません。
主人公に共感すれば没頭するし、感動するし、興奮もする。
さて、VRの活用方法とは
何冊かVR関連書籍も読んでみました。
それらで紹介されているVR活用は次のようなものがありました。
・ゲーム
・シミュレーション(教育・トレーニング)=医療で手術、フライト訓練など
・遠隔授業や理科の実験
・擬似体験=遠方に行けない人向けの旅行、足の悪い人のための富士登山など
・熱狂を体感する:ジェットコースター、ハンググライダー、ライブなど
・海の中を潜る
従来の動画を<映画>に例えるなら、VR映像は<演劇>だと思いました。
<映画>は、作り手が見て欲しい部分やアングルを指定する。
一方、<演劇>は観客が見たいところを見る。
VR映像は「見たいところを見て欲しい」という用途に適しています。
例えば、不動産の内覧、工場見学、そして洞窟や廃墟などの探索。
老人や障害者の視点を追体験する、というVR映像制作に関わったこともあります。
僕は「お試し体験」こそがVRの役目ではないか、と感じました。
チョモランマの頂上を歩いてみたいし、宇宙ステーションの中も移動してみたい。
異世界転生ものが人気なようですが、VRは異世界転生の窓口、とも言えるかもしれません。
それと、もう一つ
もう一つ触れないといけないジャンルがあると思います。
アダルトです。
数冊の書籍に目を通したのですが、どこにもアダルトについては言及されていませんでした。
そこで、大いなる使命感を持って(自宅に誰もいないタイミングを見計らって)調査してみたわけですが・・・
結果として、期待?したものとは違っていました。
某アダルトサイトのサンプルVR映像というのを2つ3つ見た初見は、「相手が近い!」。
映像というのは、引きの映像と寄りの映像が存在します。
しかしアダルトVRは、(サンプルしか見てませんが)ほとんど寄りの映像の一点張り。
見るのにちょっと慣れが必要だなと思います。
僕はVRゴーグルを息子と共有しており、視聴履歴が残ってしまうため、これ以上の研究はやめることにしました。
アダルトVRは、視聴にあたって各種の気苦労がつきまとう。
これも研究の結果、理解したことです。
まとめ
3D映画を思い出します。
一時期すごく話題になったものの、じわじわと沈静化していった。
専用機器が必要というのが大きすぎるハードルだったのではないか。
VRにも同じことが言えそうです。
特に、機器のお値段。
コスパ優先の時代において、「それを買うとどんなメリットがあるのか」が確実にならない限り、流行るのは厳しいのかなと思いました。
僕自身はVR酔いがひどいため、正直VRゴーグルにはあまり触れたくなくなってます。
何年も前、僕は「スマートフォンでちゃんとした動画なんて作れるものか」と完全に小馬鹿にしていました。
そして批判するための情報武装として4年間に渡って徹底的に研究した結果、今ではスマホ動画の書籍も出しそちら方面の専門家を名乗るようになりました。
だからVRについても、やがて意見は変わってくるかもしれません。
引き続き、研究を続けたいと思います。