ニュージーランドでのヒッチハイク中に出会った人たち(前編)

旅はひと、だと思っています。

もちろん、歴史的な建造物に心奪われたり、見たこともない景色にため息をついたり、新しい食べ物に四苦八苦するのもまた、旅の魅力。
それでもやはり、過去に訪れた国を思い返す時に頭によぎるのは、その時々で出会った人たちのこと。

ちょっとした会話とか、その時の気持ちとか、ありありと思い返すことができる。
よかったことも、驚いたことも、しみじみ感動したことだって。

おそらく感情に記憶されてるからなのだろうと思います。

ニュージーランドでヒッチハイク

今から30年近く前、ニュージーランド滞在中にヒッチハイクをしたことがあります。

ニュージーランドは、日本の国土をひとまわり小さくしたくらいのサイズ。
北島と南島に分かれていて、その半分の北島をヒッチハイクで縦断しました。

出発地は、首都のウエリントンで、目指したのは北の先っぽのレインガ岬。

これ、そのまま日本の「東京から宗谷岬を目指す」に近い。

ヒッチハイクの記録をまとめると次の通り。
・期間:1週間
・移動距離:約1600km
・乗せてもらった車:33台

なぜこんなに詳細な情報があるかというと、手帳に細かくメモしていたからです。
時代的にネットもスマホもなく、一人の時は、本を読むか何か書くかしか、することがなかったのです。

この1週間のヒッチハイクの中で、特に記憶に残ってる人(たち)についてピックアップしてご紹介したいと思います。

(1)旅行中のサモア人の若者たち

宿でオランダ人から「やってみたら?」と言われ始めたヒッチハイク。
しかしいざ路上に出てみると、どうもにもこうにも恥ずかしい。

おそるおそる親指を上に向けた左腕を、突き出してみる。
(ニュージーランドは日本と同じ左通行)

そのまま1時間くらいずっと立ち続けてみたけれど、1台も止まらない。
もうやめようかな、と思い始めた時、衝撃の出来事を目にします。

少し離れた場所に、別のヒッチハイカーが現れ、その人物はものの数分で車を止めたのです。
それだけじゃなく、その場所にまた別の人が現れ、またものの数分で車を止めて乗っていく。

不思議に思いながら、僕もその場所に移動して左腕を突き出してみると・・・

スゥっと目の前に車が止まったのです。

僕を乗せてくれたのは、サモア人の若者たちでした。
彼らはとにかく陽気で、僕も人生初めてヒッチハイクを成功させた興奮で大騒ぎ。

僕は先ほどのヒッチハイクの出来事をドライバーに伝えました。
ずっと立っててダメだったのに、場所を変えたらすぐ止まってくれたことを。

すると「そりゃそうだよ」とサモア人のドライバーは答えました。

「だって、車を止めやすい場所に立ってたからね」

(2)仕事帰りのおじさん

ヒッチハイク1日目の最後に乗せてくれたのは、農業を終えて帰宅中のおじさんでした。
あたりは薄暗くなっていた時間帯。

おじさんは「どこに泊まるんだ?」と聞いてきた。
僕が「公園があればテント張ります」と答えると、「危ないから、うちに泊まってけ」。

そのおじさんの家へ行くと、よく話す奥さんと、小さな女の子がいました。
夕食後は、その女の子とディズニーの『ライオン・キング』を鑑賞。

奥さんは小さい頃、親の仕事か何かで日本に行ったことがあるとのこと。
いつかまた行ってみたいのだけど、とつぶやいて、すでに寝室に行った夫の方をチラッとみて、
「でも、旦那の稼ぎだと、もう無理ね」。

翌朝起きると、すでに夫婦は仕事に出かけた後でした。
家は鍵を開けたままで、テーブルの上には朝食が置いてありました。

ありがたく食べさせてもらい、近くにあった新聞紙で大きな鶴を折りました。
そしてマジックで「Thank You!」と。

(後編につづく)

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