5年ほど前まで大阪でシステムエンジニアをしていた筆者が、現在住んでいるペルー南部のとある田舎町でのコロナ禍生活についてお伝えします。
※内容やデータは2020年12月現在のものとなります
ペルーでは、2020年3月15日から継続的に「ペルー国家緊急事態宣言」が発令されており、2020年11月末までに、累計90万人以上の方の感染が確認され、亡くなられた方も3万5千人以上おられます。
高い感染率と死亡率
こちらでは、混み合う市場に毎日買い物に行くという習慣が根強く、ソーシャルディスタンスの重要性を軽視し続けたため、感染の波が来た際にたくさんの方が犠牲になってしまいました。
年配の方々はとてもアクティブな人が多く、危険だと分かっていてもどうしてもステイホームを続けることが難しいようです。
彼らは貧しさゆえに、小学生ぐらいの年齢の頃から労働しなければいけない環境で育ったケースが多く、自宅でじっとしていることをとてもつらく感じたのでしょう。
政府の援助もあまり見込めない状況のなかでは、貧しい世帯の人々は働きに出ざるを得ません。同じ布マスクを何日も装着するという最低限の装備だけで、混み合った市場やその周辺で物売りなどをしています。
また、年配者との接触を避けるために家族が訪問してくれなくなったことから、家族内のちょっとしたトラブルが発生してしまうというケースもあり、コロナが生活に大きな影響を及ぼしています。
さらに、病院が感染症対策にリソースを集中しなければならないため、一般の診療が著しく滞ってしまっています。持病を持っている方々が厳しい状況を耐えなければならないのを見ているのがとてもつらいです。
ITを活用した生活支援
これまで2020年4月頃と9月頃の2回にわたり、政府からの貧しい世帯層向けの給付に関するアナウンスがありました。
1回の給付は日本円で約1万円程度。1世帯が数週間分の最低必需品を賄える程度の金額が、世帯の人数にかかわらず一律で給付されています。
この街の住人達の大半は大きな企業に勤めているわけではないので、ほとんどの人が給付の対象となる貧しい世帯に該当しています。ソーシャルディスタンスが求められるなかで、ITを活用した方法で、給付が通知されました。
ペルーでは日本のマイナンバーのような制度が以前から確立されています。「DNI」という個人ナンバーが記載されたカードがあり、スーパーなどで買い物をするにもチェックされるほどですから、すべての成人が常に携帯しています。
政府のパンデミック対策の援助もこのナンバーに基づいて給付が知らされました。コロナに関する資金援助のための特設サイトに自分のナンバーを入力して、簡単に確認できるようになっています。
ただ、世帯主という概念がないのか、家族の誰が給付対象になるのかは分かりません。家族全員分のナンバーを入力してチェックする必要があるのが煩わしく感じます。
また、どのタイミングで給付が決定されるのかがあいまいで、何度もサイトをチェックしなければならないという状況になっています。
さらに、ここは田舎町なのでインターネットがまだ十分に普及しておらず、若い世代の家族の援助がなければ給付のチェックもできない人も多く見られます。郵便システムも不安定ななかサイト上でチェックできるというのはとても実際的ですが、現場の状況はまだまだ追い付いていないようです。