こんな、一部分だけが動いてる写真を見たことありますか?
シネマグラフと呼ばれる画像ファイルで、ウェブ上で目を引くコンテンツになります。
gif形式で保存されますが、gifアニメとは見せ方が異なります。
以前、gifアニメを紹介しましたが、あちらは画面全体が動くもの。
http://wepress.web-magazine.jp/2019/10/25/5937/
シネマグラフはあくまで、一部分だけが動きます。
さて、このシネマグラフ、作り方は(慣れれば)それほど難しいものではありません。
作り方よりも、<素材・題材の見つけ方>の方に注意が必要だぞと思ったので、それについてまとめたいと思います。
* *
まず、シネマグラフの僕の作り方をざっと解説します。
撮影の様子はこんな感じ。
カメラを三脚に固定して動画を撮ります。
続いて、撮った動画をPhotoshopで加工していきます。
①Photoshopで動画ファイルを読み込む
②5秒ほどにカットし、静止したい画像を選択
③②で選択した画像をコピーし貼り付け
④③で貼り付けたレイヤーを移動させ、タイムライン場でも長さを揃える
⑤④で移動させたレイヤーにマスクをかけ、「ブラシツール」の黒で動かしたい部分を塗る
この段階で、再生するとシネマグラフができている
⑥必要に応じて解像度を変更
⑦「変換」をクリック
⑧「ループオプション:無限」を選択し、GIF形式で保存する
今回の例はPhotoshopで作成しましたが、スマホアプリもいくつか存在します。
ただ、ロゴが入ったり制限があったり有料だったりして、オススメと言えるものに出会えていません。
作り方を覚えてからシネマグラフ作りが楽しくなって、日々あれこれ作り続けた結果、いろんな発見がありました。
うまくいったもの・いかなかったものが出てきたんです。
いやむしろ、「意外とうまくいかないな」と言う結論に至ったわけです。
いくつかの例を挙げながら、僕が感じた問題点を共有したいと思います。
【失敗1】カメラが少しでも動いたらアウト
崖に打ち寄せる波がいいなと思って撮影したものをシネマグラフ化したもの。
見ていると、波や岩が不自然に上下に動いているのが分かります。
これは、スマホを手で持って撮り、映像が動いてしまったため。
★シネマグラフにする動画で必須なのは、カメラをしっかり固定すること。
当たり前だ、と思うことでしょうが、旅先などでとっさに撮りたいと思った時、「カメラをしっかり固定する」ことは意外とハードルが高い。
運良く三脚があったとしても、ちょうどいい角度にカメラを固定するのはやっぱり難しい。
【失敗2】つなぎがカクッとなると興醒め
シネマグラフは、短い動画を繰り返す構造になっていますが、繰り返す瞬間に、自然につながっているほどきれいに見えます。
上記のフィルムカメラの例だと、切り替わる瞬間に画面がパッと変わるのが分かります。
【失敗3】邪魔が入ったら台無し
よくよく見ると、恐竜のあごの下、背後に人が横切っているのが分かります。
画面が薄暗いため、撮ってる時は気づけませんでした。
しかし、ものすごい人混みの場所でしたから、完全な撮影はもともと無理だったでしょう。
【失敗4】はっきり見えないと意味がない
シネマグラフに向く素材は、「ぼんやりした形で、動きが単調に繰り返されるもの」。
だから、水ものがとてもいいです。
噴水、雨、雪、湯気など。
そう思って作ったのがこちら。熱いコーヒーの湯気を狙ったものです。
しかし、湯気が見えづらい。よーく見てようやく「あぁ」という感じ。
動きがきちんと見れなければ意味がありません。
【失敗5】動画に見えたら負け
大雪が降った日、これはシネマグラフに!と慌てて撮影しました。
動くべきものが動き、動くはずのないものが静止している。
・・・単なる動画じゃないか、とガックリきました。
もう一つ。
シネマグラフには水ものがいいとは言え、画面の中の占める割合が大きいとNGです。
これもまた、単なる動画に見えてしまいます。
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シネマグラフの題材に求められるのは、
「ん?何これ? 動画・・じゃない!」
と思わせるものです。
そのためには、動く部分は画面の一割か二割くらいが効果的だと思います。
また、かなり狙って撮りにいかないと厳しいでしょう。
シネマグラフ向きかどうかの「選定眼」がキモになると言えます。
例えば、
・街の雑踏の中で、一つのネオンだけが点滅している。
・女性が立ち、髪だけとか衣装だけが風に揺れている。
・公園で人々は停止、噴水だけが動いている。
・カフェでウェイターが停止、コーヒーだけが注がれ続けている。
こういった企画を練ってから準備に入る、もしくは普段から目をつけておく、という作り方が理想です。
最後に。
シネマグラフは、SNSなどでの告知や宣伝にも向いていると思います。
僕はちょこちょこ使っています。