突然ですが、「リップシンク動画」という言葉を知っていますか? このリップシンク動画が現在国内だけでなく海外の若者の間でとても流行っています。
リップシンク動画はいったいどんな動画なのか、そして人気の理由や今後の展望などについてご紹介します。
リップシンク動画とは?
「リップシンク(Lip Synch)」とは「言葉やセリフに合わせて口を動かす」という意味になります。
そしてリップシンク動画とは、15秒~30秒ほどの音源に口パクで合わせながら歌ったり踊ったりして撮影した動画のことを指します。
編集や加工をし終えた動画は、リップシンク動画アプリと呼ばれるサービス上にシェアをして楽しみます。リップシンク動画アプリの代表がTikTok(ティックトック)です。
TikTokは2020年に全世界で累計20億回ダウンロードを突破しました。ほとんどの携帯に最初からインストールされているGmailやYouTubeがそれぞれ累計50億回以上のダウンロード数なのですから、任意でダウンロードするアプリとしては凄まじい数ですよね。
それにしても、全世界の人が累計20憶回もダウンロードするほどTikTokが人気なのはなぜでしょうか。また、リップシンク動画はいつ頃から流行し始めたのでしょうか?
日本では2018年ころから人気に
現在TikTokを運営している中国のByteDance社が、リップシンク動画の元祖であるmusical.ly を買収し、TikTokとして再リリースしたのが2017年のこと。欧米市場では知名度があったmusical.lyという名前を残したままサービス提供をしていたため、2017年にはリップシンク動画がすでに広まっている状態でした。
その後、2018年頃から日本でのTikTokユーザー数が増加し、リップシンク動画が国内で流行し始めます。そしてインスタグラマーやYouTuberがこぞってTikTokにリップシンク動画を投稿し始めたことでその人気に火がつき、若者にとって定番になりました。
リップシンク動画はなぜ人気が出たのか分析
リップシンク動画が人気な理由は主に2つあると筆者は分析します。
ひとつは、自己表現の幅が広がるからです。
歌が下手でも音源を使って口パクをすれば、その歌手になりきることができます。好きな曲やセリフを切り取って、ダンスや表情を工夫するだけで、アイドルや声優、アニメのキャラクターにだってなれるのです。たった15秒なので難しい動画編集もいりません。
自己表現の幅を広げてくれるリップシンク動画は、若者にありがちな変身願望を簡単に満たしてくれるのでしょう。
もうひとつは、簡単に承認欲求を満たせるからです。
ある特定のYouTuberやインスタグラマーが流行る理由のひとつに「独自性」というものがあります。彼らはオリジナリティあふれる投稿や動画編集によって、いいねやファンを獲得しています。
しかしこれを真似するのは難しく、投稿のたびに毎回新しいアイデアを出すのは大変ですし、いいねが集まらなければなかなか承認欲求を満たせません。
それに比べてTikTokでは独自性はあまり必要がなく、「真似」をするだけでたくさんのいいねを集めることができます。
手っ取り早く承認欲求を満たしたい若者にとってTikTokは有難いプラットフォームなのでしょう。
人気はまだ衰えそうにない
2020年8月に入り、Instagramが15秒の動画を作成できるリール(Reels)という機能を追加しました。
【人気記事】インスタグラムが15秒の短尺動画を作成できる新機能「リール」の提供をスタート。カメラエフェクトや音楽などが選択できるほか、フィード上への投稿も可能です。https://t.co/QgIY7Q51Xk pic.twitter.com/LtrxrWCOUY
— FASHIONSNAP.COM (@fashionsnap) August 15, 2020
また、アメリカではYouTubeで15秒の動画を投稿するテストを開始しています。
ほかにもDubsmashというショートビデオアプリが月10憶ビューを達成するなど、TikTokに対抗する形でさまざまなサービスがリップシンク動画アプリ界に参入してきています。
リップシンクのDubsmashが驚異のカムバック、月10億ビューでショートビデオの2位に / 02月03日 10:00 AM #TechCrunchjp https://t.co/KAVMex4qVo
— TechCrunch Japan (@jptechcrunch) February 3, 2020
承認欲求を簡単に満たすことができ、自己表現の幅を広げられるリップシンク動画。
大手SNSの参入が新たに参入してきていることを考えると、リップシンク動画の人気は今後も衰えないといえるのではないでしょうか。