動画編集のスタンダードなものの一つ、アドビ社のPremiere Pro(プレミアプロ)。
僕も愛用していますが、来たるアップデートがかなりの話題になっています。
それは「文章で動画編集ができるようになる」というもの。
なんだか、わかりそうで、よくわからない。
動画編集を普段やらない人でもピンとくるように解説してみたいと思います。
もう聞き飽きた「神アップデート」
アドビのPremiere Proユーザーの間で、よく「神アップデート」という言葉が使われます。
ものすごい便利な機能が追加されるぞ!とお祭り状態になるんです。
ただこの「神アップデート」という言葉、使われすぎていてもはやオオカミ少年状態。
ところが、今回はTwitterやネットニュースでの反応が、いつもとちょっと違う印象なのです。
調べてみると、追加されるある機能が注目されていることがわかりました。
それが、『文章で動画編集できる』というものです。
ベータ版(試用版)で実際に試してみる
ネットニュースでは「5月実施のアップデートで」と書かれており、それを待っていたのですが、今日現在(2023/5/8)まだ機能として実装されていません。
そこで、ベータ版を使ってご覧いただこうと思います。
ベータ版というのは、正式版をリリースする前にユーザーに試用してもらうためのもの。
Adobe creative cloudというアドビ契約者のためのページから、「Premiere ProのBeta版」をインストールできます。
インストールした後、ベータ版を起動します。
「文章で動画編集できる」とはこういうこと
1)動画素材を読み込み、「文字起こし開始」を押します。
2)動画内の言葉を読み取っているのか、うねうねとバーがうごめきます。
chatGPTもちょっとずつ文字が出たりと、昨今のAIはいちいち「やってる感」を出してきますね。
3)文字起こしが終わると、ドン!と文字が表示されます。
今回のアップデートはここからです。
この赤く囲まれた文字起こしされた部分。
この文章を、まるでワードを操作するように、動画を編集していけるのです。
4)文字を選択すると、映像も選択される!
①「ピントは合ってますかね。」などとブツブツ独り言を言ってます。削りたい文字列をマウスを使って選択します。
②すると、同時に、該当する映像部分も選択されているのです!
5)削りたい部分を選択した状態で右クリックし、「カット(抽出)」をクリックします。
6)すると文字が削除され、同時に該当する映像部分も削除されています。
無言の部分は[…]と表示されてるので、[…]を選択して削除。
「あー・・えー・・」みたいな部分も、文字を選択して削除。
言い間違えてる部分も、文字を選択して削除。
ワードで文字を校正するように、文字をいじれば、映像も一緒に削除されていく。
これはすごいや。
他にもこんな使い方ができる
削除の他に、こんな使い方もできます。
(1)文字で映像が検索できる
文字起こしした場所に検索窓がついていて、例えばここに「絵コンテ」と入れると、僕が「絵コンテ」と口にしている箇所がハイライトされます。
ハイライトされた部分をクリックすると、その場所の映像が表示される。
言葉で動画検索ができるようになってるのです。
長いインタビューを編集する時、これまで「この人、確かどっかでこう言ってたんだよなあ・・」と動画を何度も聞き直しながら探す、という行為が消えます。
(2)文字で、映像のコピー&ペーストができる
文字列を選択してコピー&ペーストすると、同様に映像もコピーされます。
ただ、この機能は、どんな時に役立つかまだ思いつきません。
インタビュー動画の編集作業には画期的なこと
この機能は、インタビューなど誰かがしゃべるタイプの動画編集にぴったり。
これまでの、「イヤホンをしてじっくり聴きながら、パッと止めて映像に切れ目を入れて、また聴きながら・・・」という作業に革命が起きます。
耳を使わず、目で見てどんどんカットしていける。
インタビューを撮影した後、余計な部分をカットしてラフ編集をする作業が、劇的に早くなるのです。
知り合いにドキュメンタリー映画の監督がいて、彼女はいつも、膨大なインタビュー素材と格闘しています。
どのファイルの何分何秒で何について話してるか、ということをメモしながら編集を続けている。
この機能、早く正式リリースしてもらい、一刻も早く教えてあげたいと思いました。
まとめ
これまで、「動画の中のセリフを検索できたらなあ…」と何度となく思っていましたが、それが現実になったわけです。
今後、文書と同じように、「動画内の検索」もどんどん精度が上がっていくんだろうなと思います。
「○○だったらなあ・・」という希望はいずれ解決するのだ、というつもりで生きていった方がいい気がしています。