昨年12月、ソニーワイヤレスコミュニケーションズが運営するNUROが「NURO Wireless 5G」という新サービスを発表し、大きな注目を集めました。
最近では「5G」という言葉を耳にする機会も増えましたが、それが何かよくわかっていないという人も少なくないはず。また、5Gはわかっていても、NUROの「NURO Wireless 5G」と携帯キャリア4社の5Gサービスとの違いはわからないという方もいるでしょう。
そこで今回は、そもそも5Gとは?というところから解説し、NUROの新サービス「NURO Wireless 5G」がどのような人におすすめのサービスなのかを紹介していきます。
- 目次
- そもそも「5G」とは?
- 第5世代までの歴史
- 5Gの要件
- NURO Wireless 5Gとは?
- 「NURO Wireless 5G」の注目すべき特長
- 「NURO Wireless 5G」の注意点
- 携帯キャリア4社の5Gとの違い
- まとめ
そもそも「5G」とは?
5Gとは、「5th Generation(第5世代)」の略称で、第5世代移動通信システムのことを表す言葉です。
移動通信システムとは、スマートフォンなどの持ち運べる通信機器を用いた通信システムのことを指しています。つまり、新世代の通信システムだと理解していただければ問題ありません。
第5世代までの歴史
第5世代という言葉通り、これまでの通信システムは第1世代から第4世代に分けることができます。
第1世代は、音声を電波に乗せる信号に変換するアナログ規格を用いたものです。携帯電話が登場したばかりの頃に用いられていたシステムで、機能は音声通話のみでした。
第2世代が登場するのは1990年代のこと。アナログからデジタル通信に変更され、メールやインターネットに接続できるようになりました。
続いて登場した第3世代の最大の特徴は、規格が世界基準になったことです。これによって日本の携帯が海外でも使用できるようになりました。また、通信速度が改善されたことで容量の大きなコンテンツも増え始めます。2008年に登場したiPhone3Gは、当時大きな話題にもなりました。
そして、現在普及している4Gは2010年代に登場したものです。通信速度の飛躍的な改善により、スマホゲームや動画コンテンツといったサービスを楽しめるようになり、スマホ市場が広く拡大するきっかけにもなりました。
このように、通信システムは技術革新によって目まぐるしい速度で進化してきました。そして、近年広がりを見せようとしているのが第5世代(5G)です。
5Gの要件
5Gはこれまでの通信システムと比較して何が違うのでしょうか。国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)という組織は、5Gの要件として以下の3つの要素を挙げています。一般的に、これら3つの要件を満たす通信システムが「5G」と呼ばれています。
(1)高速・大容量
まず、高速大容量について。これは文字通り、通信速度が高速であり、大容量のデータのやり取りができるということです。具体的には、国際電気通信連合による下りの最大通信速度の目標値は20Gbps、上りは10Gbpsとなっています。
4Gの下りの最大通信速度は100Mbps~1Gbpsとされていることから、その速さがうかがえます。5Gなら4K・8Kのライブ映像なども快適に視聴することが可能です。
(2)高信頼・低遅延
高信頼・低遅延とは、一言で言えば、途切れることなく低遅延の通信を提供できる、ということです。通信が途中で途絶えたり、大きな遅延が発生したりしてしまうと致命的な事態を招きかねない、医療や自動運転などの分野で特に重視される要件です。
なお、国際電気通信連合による伝送遅延の目標値は1msとされていて、4Gと比較すると10分の1ほどの低遅延となっています。
(3)多数同時接続
多数同時接続は、どれだけ多くのデバイスと同時に接続できるか、という要件です。国際電気通信連合による同時接続の目標値は100万デバイス/㎢となっています。IoT化が進み、身近なものがインターネットに接続する現代だからこそ求められている要件といえるでしょう。
NURO Wireless 5Gとは?
ここからは、「NURO Wireless 5G」について説明していきます。「NURO Wireless 5G」は、国内初の個人向けローカル5Gによるインターネット接続サービスです。
ローカル5Gとは、NTTドコモやKDDIといった通信キャリアの基地局を利用せず、独自でアンテナを設置して5Gの通信サービスを提供することを指します。
「NURO Wireless 5G」の注目すべき特長
まず挙げられるのは、通信速度制限がない点です。一日でどれだけ使っても速度制限がかかることはありません。
また、一時的に大量のデータ通信が行われることによる速度制限が起きにくい点もメリットです。ローカル5Gというスポット的な利用となるため、回線が混雑するおそれがほとんどなく、通信品質は安定するものと思われます。
さらに、マンションの敷地内にアンテナさえ設置できれば、各部屋での工事は不要な点も注目すべきポイントのひとつです。
通常、マンションに光回線を導入する場合は各部屋に回線を引く工事が必要になります。しかし、「NURO Wireless 5G」は無線による通信サービスのため、基地局さえ設置できれば各部屋ではホームルーターを置くだけで5G回線が利用できるようになるのです。
そしてもうひとつ特筆すべきは、7日間のお試し期間中であれば無料で解約できるという点です。無線接続の場合、マンションの部屋とアンテナの位置によって速度が変わってくることも少なくありません。想定していた速度が出なかった場合に無料で解約できるため、ユーザーは安心して試すことができます。
「NURO Wireless 5G」の注意点
一方で注意すべき点もあります。
「NURO Wireless 5G」は、マンションに限定した通信サービスです。戸建てにこのサービスが提供される予定はありません。
また、サービスを提供する地域も限定されています。順次拡大予定となっていますが、現状は提供エリアが局所的となっているため、住んでいる地域が対象エリアであるか事前に確認が必要です。
そして、自分一人が利用したいと思っただけでは利用できないというマンションならではの問題もあります。「NURO Wireless 5G」を利用したい場合はNUROにサービス利用の希望を出して需要の調査をしてもらい、マンション内に一定の需要があると見られた場合に基地局の設置が認められるという流れになります。
利用したいと思っても利用できないケースも少なくないという点は事前に留意しておきましょう。
携帯キャリア4社の5Gとの違い
携帯キャリア4社(docomo、au、Softbank、楽天モバイル)の提供する5Gサービスも「NURO Wireless 5G」も名前は同じ5Gですが、提供されるサービス自体は大きく異なります。その最大の違いは、「NURO Wireless 5G」がローカル5Gであるという点です。
携帯キャリア4社の5Gは、それぞれが基地局を各地に設置して5Gの通信を提供しています。その範囲はまだ全国的には限られているものの順次拡大していて、都心では比較的広い範囲で5Gを利用することが可能です。
一方「NURO Wireless 5G」は、NTTドコモなどが提供する5Gの基地局を利用せず、スポット的にマンション内のみをカバーする基地局を設置する仕組みです。よって利用できるのはあくまでマンション内のみになります。家庭内での利用のみを想定した5Gサービスであるという点が「NURO Wireless 5G」の特徴なのです。
また、携帯キャリア4社の5Gは、ホームルーターを設置することで各地にある基地局に接続して5Gを利用できるため、利用にあたって工事は不要です。一方「NURO Wireless 5G」は基地局をマンション内に設置する必要があるため、サービスを利用するためにマンション内で工事が必要となります。すぐに利用を開始できるわけではない点に注意しましょう。
まとめ
ここまで解説してきたポイントを踏まえて、「NURO Wireless 5G」をおすすめしたいのは以下のような条件に当てはまる人です。
・対象地域内のマンションに住んでいる
・5Gの品質を体験してみたい
・家で利用する安定した高速通信サービスを探している
自宅でオンラインゲームをプレイするにあたり、高速で安定する回線を探している人や、4Kや8Kのライブ映像を自宅で快適に楽しみたいといった方には特におすすめのサービスです。自分が条件に当てはまるという方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
なお、サービスの提供開始は2022年春頃と発表されていて、料金プランなどの詳細についても未発表となっています。詳細は公式Twitterアカウントをチェックしてみてください。