「いま緊急で動画回してます!」〜身近に残るレトロ表現
ショート動画やYouTubeなどでよく聞く、
「いま緊急で動画回してます」という表現。
これ、10代、20代の人が使っているのを聞くと、ちょっと違和感があります。
というのも、「回す」は、フィルムやテープで撮影していた時代の表現。
デジタル撮影では何も回っていません。
そう思って周りを見ると、レトロな表現やマークが意外と残っていることに気づきました。

昔の道具がアイコンに
「動画を巻き戻す」「テレビのチャンネルを回す」。
これらは、昔の操作が言葉になったものです。
アイコンもそう。
スマホの電話アイコンは受話器の形。
再生「▶」、早送り「▶︎▶︎」なども、テープレコーダーやビデオデッキでおなじみのマークです。
「保存」や「上書き」で見かけるフロッピーディスクのマーク、
そもそも現物を触ったことがある人は、今、どのくらいいるのでしょうか。
CD、DVDもぼちぼち怪しくなってきてます。
映画の象徴として使われるカチンコアイコンも、それが何かわかってない人もいるでしょう。
元の道具を知らなくても意味が通じる、短くて分かりやすい表現として使われるのだと思います。

動きで感情が伝わるのがレトロ
映像の表現でも、変化を感じます。
昔の映画では、動きだけで感情が伝わりました。
焦って電話のダイヤルを回す、受話器を叩きつける、電話ボックスに駆け込む・・・。
ところが今は、スマホなどデジタル機器を操作してコミュニケーションが進みます。
80〜90年代のアクション映画ファンとしては、ちょっと物足りない。
映画『ミッション:インポッシブル』シリーズは、身体を張ったアクションを積極的に盛り込んでいるのでしょう。
映画『search/サーチ』では逆に、パソコンの画面そのものを舞台に物語が進みます。
残る表現、生まれる表現
先日担当した企業研修で、20代と思われる参加者同士が「ガキャプで」と話していました。
一瞬何のことか分からず、彼らの手元を見て「ガキャプ=画キャプ=画面キャプチャ」だと推測。
古い表現が残る一方、新しい表現も次々に生まれています。
今年は、ソニーの家庭用ビデオカメラ「ハンディカム」の現行モデルが生産完了になったというニュースもありました。
かつて運動会といえば、片手で構えたビデオカメラ。
あのアイコニックな景色も、すでに懐かしくなりつつあります。

まとめ
こないだ中学生の息子が、緊急で緑の公衆電話から連絡してきました。
使い慣れないので、何円でどれくらい話せるのか不安だったそうです。
新しい言葉や動作がどんどん生まれる一方、まだまだ我々の生活には「レトロ」が潜みます。
映像を生業にしている以上、見せ方と伝わり方には敏感でありたいと改めて思いました。
なお本稿は、「ダイヤル回して、手を止めた」時代の人間が書きました。
オリカワシュウイチ
映像クリエイター。絵コンテコーチ。 初心者の映画制作をサポートする活動を全国で続ける。埼玉県在住。 仲間ゼロ・カメラ1台から映画作りをスタートし『映画工房カルフのように(http://karufu.net/)』を立ち上げ、セミナーやワークショップを通して、これまで1000人以上に映画作りをアドバイスする。スタローンに生で会ったことのある広島県人。 著書に『事例で学ぶ1分間PR動画ラクラク作成ハンドブック』『iPhoneで作ろう ビジネス動画の教科書』(共にペンコム)がある。