プロ自転車ロードレースチーム
「宇都宮ブリッツェン」のWebマーケティング《後編》
栃木県宇都宮市を本拠地にする自転車ロードレースの地域密着型プロチーム「宇都宮ブリッツェン」。
Webサイトを中核としてFacebook、Twitter、Instagram、YouTubeも活用しているWebマーケティングについて取材しました。
後編では、チームを運営するサイクルスポーツマネージメント株式会社副社長の廣瀬佳正さんに聞いてます。
「自転車のまち」で50年、100年続くクラブを実現
最近「自転車のまち」を謳う地方都市が増え、サイクルツーリズムという言葉も普及しましたが、全国に先駆けて行政が積極的に取り組んできたのが宇都宮市です。
市街地中心部も会場となるロードレース「ジャパンカップ」は1992年から毎年行われていて、2019大会には3日間延べ14万人を超えるサイクルファンが全国から集まりました。
入場料収入のないプロ自転車競技のチームは、スポンサー収入を頼りにして運営しているのが現状。ヨーロッパの強豪チームでもほぼスポンサー100%というところもあるそうです。
リーグ分配金も無し、ロードレースの放映権も期待できない中で、日本のチャンピオンチームが、地域密着の市民チームだということは世界的にも特筆すべき事例です。
副社長の廣瀬さんに地域密着について聞きました。
「チーム運営の他にも、ジャパンカップ運営やJR宇都宮駅前の宮サイクルステーション運営など行政と連携した事業を行っています。
宮サイクルステーションは、「自転車のまち うつのみや」の実現に向けて自転車利用者のための施設として2010年10月、JR宇都宮駅西口に開設されました。自転車利用を促進する拠点施設として、スポーツバイクのレンタルの他、休憩スペース、シャワー、ロッカーが利用できます。
http://miya-cyclestation.jp/
日本ではサイクルイベントに参加する層が300万人ぐらいいると言われていますが、そういったDOスポーツイベントを私たちスポーツチームが地域と連携して作っていき、そこでの参加料とイベント協賛も収入源になっています。DOスポーツで経済波及効果を出しながら良いサイクルが回っていくといいと思います。
行政との連携事業やイベント収入のおかげもあって、スポンサー収入は全体の売上の50%です。
スポンサー収入は欠かせませんが、50年、100年と続くクラブを実現する方法を取らなければなりません。
我々が、地域に必要とされ、自転車競技がもっともっと市民のみなさんの生活に役立つ存在になれば、市の事業も受託できるはずです。
宇都宮は、関東平野の北の端です。日光や那須など山も近くにあって、サイクルスポーツを楽しむ環境は整っている場所です。首都圏でもありますからアクセスも良いので、観光地を使ったサイクルイベントにも力を入れていきたいと思っています」
Webサイトは信頼を得る場
経営から見たWebサイトの存在意義を聞きました。
「Webサイトは、スポンサーはじめ関係者からの信頼を得る場所だと思っています。
SNSは、ユーザー年齢層などの特性を活かしながら、Webサイトをベース基地にしてファンを獲得するために細かな動きをしてくれているイメージです。
レース会場に来て応援してくれる方は、たとえばカメラが好きな人、旅が好きな人、釣りが好きな人と感性が近かったりします。
観戦時間が長いわりには興奮する瞬間が短いなどは、待ち時間が長い釣りと似ているかもしれません。
40~60代がボリュームゾーンですが、(SNSを通じて)ファンの年齢層を下のほうに広げていければと思います」
実は、プロ野球やJリーグでは考えにくいことですが、廣瀬さんはブリッツェン以外の複数のチームの創設や運営サポートに同時進行で携わっています。
企業チームでヨーロッパツアーで活躍しても自転車競技の知名度が上がらないことを実感した選手時代。マイナー競技の悔しさも抱え地元に帰ってきた廣瀬さんは、今も 日本のプロ自転車ロードレースをメジャーにするために活動しています。
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◇取材・制作/ウェプレス編集部
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宇都宮市をはじめ、栃木県は昔から自転車競技が盛んな土地でした。
中学校や高校に強豪校と言われる学校があり、宇都宮市民、栃木県民も自転車競技を身近なスポーツのひとつとして捉えています。
宇都宮ブリッツェンは、全国に広がりを見せつつある地域密着型プロ自転車ロードレースチームの先駆けとして、自転車競技の普及のみならず地域に必要とされる活動を進めています。一方で堅実なWebマーケティングも行っていました。
廣瀬さんは「10チームでレースをしても勝つ選手は1人で勝つチームは1チーム。負けることのほうが多いのだから、負けても魅力があるチームにならないといけないですね」と話しています。
宇都宮ブリッツェンは、50年、100年存続する、勝ち負け関係なく地域に愛される地域に根差したチームを目指し続けています。