プロ自転車ロードレースチーム
「宇都宮ブリッツェン」のWebマーケティング《前編》

「宇都宮ブリッツェン」は、2009年にスタートした栃木県宇都宮市を本拠地にする自転車ロードレースの地域密着型プロチームです。
かつては企業チームがほとんどだった自転車ロードレースチームですが、近年は全国各地に親会社を持たない“市民チーム”が複数誕生しています。
そして今年、地域密着型の9チームが加盟するジャパンサイクルリーグ(JCL)がスタートし、このほど10戦のレースを終えて宇都宮ブリッツェンが初の年間王者に輝きました。

宇都宮ブリッツェンのWebマーケティングについて、チームを運営するサイクルスポーツマネージメント株式会社副社長の廣瀬佳正さんと同社広報担当の田野加奈子さんに取材してきました。

 目次
  • Webサイト、Facebook、Twitter、Instagram、YouTubeを活用
  • ニュースは年間120~130回更新
  • 開かれないページが無いようにしたい
  • SNSでは日常的なプラスαの情報を投稿
  • 「ちょっと他社ブランド写っているよ!」と慌てることも
  • ファン目線での情報発信
  • Webサイト、Facebook、Twitter、Instagram、YouTubeを活用

    宇都宮ブリッツェンのWebサイト(https://www.blitzen.co.jp/)は、ナビゲーション(上部メニュー)の分かりやすさとトップページの構成が特徴的です。大き目のトップ画像はイベントなど旬な情報がスライドし、直下にレース情報、その下に更新頻度の高いニュースがカテゴリー別にタグ分けされています。
    そしてその下に大きくYouTubeと、Instagram、Twitter、Facebookの画像やタイムラインがフィードされています。
    チーム始動当初Webサイトとブログでの発信から始め、現在ではWebサイトもSNSも原則社内で更新しているそうです。

    ニュース更新は年間120~130回


    宇都宮ブリッツェンの12年間は、日本のSNS普及の時期と重なります。Twitterが広まり始めたのが2010年で、LINEスタートが2011年、InstagramもYouTubeもこの頃です。

    見やすいSNSのフィード

    ニュースは年間120~130回更新

    WebサイトやSNSを担当しているのは、4年間の営業担当を経て今年1月に広報担当に着任した田野さんです。
    レースに帯同することや、写真撮影やレポート記事作成、Webサイトのニュース投稿、SNSの投稿、選手のイベント、ラジオ出演などのスケジュール調整、メディア対応なども田野さんの業務です。

    「年間120~130回更新するWebサイトニュースのうち7割ぐらい私が担当しました 。私以外のスタッフも、新グッズやファンクラブの情報、地域貢献活動、自転車教室、スポンサー向け情報などそれぞれが担当する情報発信を管理ツールにログインして投稿できるようになっています。今は、問い合わせ数などの数値目標は作らず、更新数をこなそうと考えています」

    開かれないページが無いようにしたい

    田野さんに、着任してから手掛けたことを聞きました。

    「私たちが見て欲しいのは選手の活躍です。そういう視点で、今年はサイト構成を一部見直しました。古いままの写真や動いていないページを整理し、独立させるページは独立させるなどです。
    とにかく開かれないページが無いようにしたいと思っています。できるだけ動かないページを作らないようにこころがけ、定期的に様子を見ながら変えていく。SNSもそうですが更新しないと人が離れて行ってしまいます。元気に動いているさまを見せないといけないと思っています」

    田野加奈子さん

    「更新スピードも改善しました。昨年までは写真と原稿を外部に頼んで、チェックして投稿する、という流れだったんですが、ワンストップで社内で完結できるようにしました。レース結果をその日のうちにファンの方、メディアの方にお届けできるようになりました」

    営業経験も活きているそうです。

    「営業を担当していた時、企業の方にWebサイトをお見せしてプレゼンすることがありましたが、それなりに更新している様子をお見せすることは社会的信頼に繋がると感じています。
    昨年で紙での発行は終えてしまいましたが、広報誌『ブリッツェンタイムス』はバックナンバーもPDFで掲載しながら継続しています。こちらは経営者の方に見せやすいです」

    SNSでは日常的なプラスαの情報を投稿

    SNSについてはどのような管理をされているのでしょうか。

    「フォロワー数は毎週チェックしています。Twitterなら現実的には1日3人で年間1000人伸びればいいなと思っています。
    Webサイトが企業の方が見ても良い内容にしているのに対して、Twitterなら、お祝いのお花を頂きましたとか、選手がここでトレーニング中ですなど日常的なプラスαの情報を毎日1つ2つ投稿。少し笑っていただけるような内容を心がけています。
    Instagramは、レースで走っている写真以外の選手の様子や、別の担当者が撮ったドローンの映像なども投稿します。
    Facebookはホームページに近い内容、他の媒体の情報をシェアしたりもします。レース会場に来てくださるファンの年齢層とユーザーがリンクしているので、Facebookはよく見ていただいているようです。
    YouTubeはコロナ禍ということもあり今年はできていません。本来は積極的に行うべきだと思っているので、方向性などを検討して来年再開したいと思っています。ただ更新していなくても登録者数は少し伸びています」

    「ちょっと他社ブランド写っているよ!」と慌てることも

    投稿の際に注意していることなどを聞きました。

    「まず、掲載するのはあくまでも自分たちに関連する情報で、表現などはチームに不利益になることがないようにしなければいけません。
    少し前に、延期になった大会を『中止』と書いてしまったことがあり、自分たちより先にフォロワーさんに指摘いただいたことがありました。選手の個人アカウントの発信で『ちょっと他社ブランド写っているよ!』と慌てることもあります」

    サプライヤー、スポンサーへの配慮に関しては、風景写真に映り込んでいる自動販売機が、スポンサーと競合する飲料メーカーのものではないかも確認するぐらいの気の配り方をしているそうです。

    ファン目線での情報発信

    若い世代や女性にとって、レース観戦のハードルは高いはずです。入社前からチームのファンだった田野さんの感性も活かされているのでしょうか。

    サイクルスポーツマネージメント株式会社副社長の廣瀬佳正さん(右)と同社広報担当の田野さん

    「私はファン側の目線が強いと思います。私がいいなと思う写真はファンの方も喜んでいただけるような感覚はあります。ファン目線を大事にした結果、数値が伸びてくれたら良いですね。あんまり商売っ気という感じは持っていません。今年後半から、初めてのアカウントの方からのリツイートが増えています」



    ▼後編へ


    ◇取材・制作/ウェプレス編集部

    後編では、チームを運営するサイクルスポーツマネージメント株式会社副社長の廣瀬佳正さんに聞いてます。

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