コロナ禍のデュッセルドルフ市とブンデスリーガ(前編)

ドイツでは新型コロナウイルスの感染が再び急速に拡大して第2波の真っ只中にある。休暇シーズンの夏が終わり、秋の色が濃くなった10月ごろから新型コロナウイルスの感染者が再び増加し、11月2日から2度目のロックダウンが導入された。

細かい規制は各州によって違うが、ノルトライン・ヴェストファーレン州の州都で欧州最大級の日本人街があるデュッセルドルフでは、接触制限や旅行制限がかけられ、劇場や映画館などの娯楽施設やスポーツ施設、レストランやバーなどの飲食店(デリバリーやテイクアウトのみ)は閉鎖。だがその一方で、生活に不可欠ではない小売店も制限付きで営業が認められ、学校も開いていたため、第1波の時よりも規制は軽い「部分的ロックダウン」とされていた。

人気カフェのカウンター席がテイクアウト用のショーウィンドウに

カフェのカウンター席にケーキが並んでいた

デュッセルドルフの繁華街であるアルトシュタット(旧市街)からは酔っ払いたちが消え去った。地元名物の「アルトビール」が飲める醸造酒場などの飲食店がずらりと並ぶ通りはどの店も閉鎖を余儀なくされ、「世界一長いバーカウンター」と呼ばれていた以前の活気と人混みが嘘のように閑散としている。とある人気カフェでは、普段ならおしゃべり好きな地元の人たちで賑わうカウンター席が、今ではケーキが並ぶテイクアウト用のショーウィンドウへと様変わりしていた。例年ならば国内各地で賑わっている大規模なクリスマスマーケットは、残念ながら軒並み開催中止となった。

その一方で、部分的ロックダウンのもとでは、衣料品店や雑貨屋などの不要不急な店舗も開いていたため、高級ブランドが集まる通り「ケーニッヒスアレー」などのショッピングエリアは当然のように人が溢れていた。アルトシュタットにある市場では屋台でテイクアウトしたものを周辺で立ち飲み食いしている人も多かった。人がマスクを着用している以外は、パンデミック前と変わらない日常のようだった。

やっと屋外でもマスクを

部分的ロックダウン中のケーニヒスアレーの様子

デュッセルドルフではやっと屋外でもマスクを着用する人が増えた。日本とは違って、ドイツではマスクを着用する文化がなかったため、抵抗のある人が多かったのだろう。第1波の時から店舗内と公共交通機関では着用義務が出ていたものの、屋外でマスクをしている人はまだ少なかった。

それでも、デュッセルドルフ市は11月4日から一部の公園などを除く市内全域でマスク着用を義務化。この条例に市民が反発したことで、11月11日からはアルトシュタットや中央駅周辺など人が集まるにエリアに限定されたが、この義務化の流れを機に指定エリア以外でもマスクを着用する人たちは確実に増えている。

もう“優等生”ではない

ケーニヒスアレーにあるマスク着用のサイン

しかし、部分的ロックダウンでは感染拡大に歯止めをかけることができず、12月には1日の新規感染者が多くて3万人を超え、1日の死者は最多で900人以上を記録(12月20日時点)。第1波をはるかに超えている。当初は11月末までの予定だった“部分的ロックダウン”は12月20日までに延期され、12月に入ると来年1月10日までの再延期も決まった。

「心の底から本当に申し訳なく思います。ですが、私たちが払う代償が1日590人の命ならば、それは容認できるものではないのです」。アンゲラ・メルケル首相は12月9日の記者会見で珍しく感情をあらわにしながら、国民に新型コロナウイルス対策強化への理解を強く訴えた。欧州の他国と比べて第1波を抑え込んでいたドイツは、もはやコロナ対策の優等生ではなくなっていた。

“ハード・ロックダウン”

普段は観光客の多いアルトシュタット

そしてついに12月16日から来年1月10日までの予定で現状より厳しい措置の“ハード・ロックダウン”に踏み切ることが決まった。必要不可欠でない店舗、学校や幼稚園は閉鎖となり、企業も休みや在宅勤務への移行を要請されている。ドイツ人にとって大切なクリスマスの期間(12月24日~26日)だけは、家族が集まれるように接触制限が一時的に緩和される。だが、大晦日や元日に花火を無数に打ち上げる恒例行事は禁止のため、この冬は静かな年明けとなりそうだ。

ブンデスリーガは開催

ドイツでは感染拡大が続く厳しい状況の中、スポーツ施設の閉鎖や大規模イベントの禁止といった措置が継続しているにもかかわらず、プロサッカーリーグのブンデスリーガは試合開催を続けている。今シーズンは例年よりも約1カ月遅れの9月に開幕を迎えた。国内で感染者が増える中で、同じように一部のチームでも選手やスタッフの感染が確認されている。それでも、DFL(ドイツサッカーリーグ機構)の厳格な感染予防策に従いながら、今のところは1試合の延期のみで、ほぼ問題なく日程は進んでいる。

ドルトムントのスタジアムの南側ゴール裏の近くの入場口。南側ゴール裏は約2万5000人の熱狂的なサポーターで埋まるため「黄色い壁」と言われる。

開幕当初は人数制限付きながら有観客で開催され、国内最大級を誇るドルトムントのスタジアム(約8万人収容)には約1万人のファンが詰めかけるほどだった。またドイツらしい熱狂的なスタジアムの雰囲気が戻ってくるかと思われたが、第2波による部分的ロックダウン後は再び無観客での開催となり、熱気のないスタジアムで試合は続いている。


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◇取材・文・写真/湊昂大
広島生まれ。高校卒業後、英語力ゼロでイギリス留学に挑戦。現地の大学を卒業後、日本でサッカーメディアの編集部を経て、ライターとしてドイツを拠点に活動中。

 

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