「新しい生活様式」へ
飲食店の新たな顧客との向き合い方 後編

 目次
  • Uber Eats 「ローンチパートナー」の今
  • 店内でのオンライン飲み会への対応も検討
  • テイクアウトメニューの写真を自宅から投稿
  • Uber Eats 取り扱いは241店舗中29店舗
  • Uber Eats 「ローンチパートナー」の今

    外出自粛要請期間中、配達代行サービスUber Eats は経営的なメリットばかりではなかったと話すのは大宮区で「武州うどんあかねandみどりダイニング」を経営する祖父江康明さんだ。
    「お客様の足がお店から遠のく中、私たちの商品を欲してくれている。これがストレートにありがたかったですね。心の支えになりました」

    同店は2018年にUber Eatsが埼玉県内でサービスをスタートするにあたり、「ローンチパートナー」として認められている。積極的に広告を出してもらったり、オペレーションのアドバイスを受けたりなどUber Eats からサポートを受けてきた。開始当初はなかなか注文も集まらなかったが、その数も次第に増えてきて、今は多い時には1日10件以上の注文が入る。

    「取り扱うお店も増え、お客様にとって当たり前の存在になってきました。Uber Eatsで私たちのお店を知って、その後に直接、来店いただくお客様も出てきています。配達がうまくいかず苦情が来ることもありましたが、今後も積極的に活用していきたいです」

    もともと導入の理由はインバウンド対策だった。来年の東京五輪の際には海外から来た客に利用してもらいたいと考えている。

    店内でのオンライン飲み会への対応も検討

    また祖父江さんはここ数カ月、店内の変化に気がついた。それはひとりで来店した客がスマホでテレビ通話をしながら、飲食するようになったこと。いわゆる「オンライン飲み会」だ。

    「今も店にフリーWi-Fiを置いてありますが、今後はお一人様用で囲いを作り、気兼ねなくそうした飲み方をしていただけるよう、内装を変えることも検討しています」

    今回のコロナ禍は飲食店の利用の仕方、人々のコミュニケーションの取り方も変えたことは間違いない。

    テイクアウトメニューの写真を自宅から投稿

     

    大宮区の「クロブチカフェ」はSNSの利用に積極的だ。埼玉県内のテイクアウトメニューを提供するカフェを紹介する取り組み「『#埼玉うちカフェ推し』プロジェクト」に参加している。店側はテイクアウトメニューの写真を、客はテイクアウトした商品やそれを自宅で楽しむ姿を撮影し、ハッシュタグ「#埼玉うちカフェ推し」を付けて、インスタグラムやツイッターなどのSNSに投稿する試みだ。

    「自粛期間中、ずっと家にいて、3食を準備するのも大変です。そこで私たちのカフェメニューを自宅で楽しんでもらいたいと思い、参加しました。SNSのフォロワーが増え、新しいお客様にも来ていただけるようになりました」

    オーナーの青木拓朗さんは手ごたえを口にする。テイクアウトの周知が広まったことで、それまでやっていたUber Eats まで手が回らなくなり、一時そちらを休止したほど人気を集めた。

    また前編で紹介した「#StayHomeさいたま」を見た直売サービス「わくわく広場」から声がかかり、市内3カ所のショッピングモール内でお弁当の委託販売も行っている。

    「4月から5月末まで店内での営業は休止していましたが、テイクアウトと委託販売でお客様との接点は切らさずにやってこられました。店舗を再開するにあたっても、“待っていたよ”とSNSでメッセージも頂けました。こうした形で声をもらえたのは嬉しかったですね」

    SNSのつながりがリアルに波及したことを喜んでいる。

    Uber Eats 取り扱いは241店舗中29店舗

     

    日本経済新聞社が発行する消費と流通、マーケティングに特化した専門紙「日経MJ」5月20日版は今回の外出自粛要請期間中の大型連休(4月29日~5月6日)は「家ナカ消費」が進み、中でもUber Eatsは爆発的に利用が増えたと伝えている。事実、街中でもその特徴的なロゴの大型リュックを背にした配達員の姿を多く見かけるようになった。

    しかし5月末日時点で「#StayHomeさいたま」に掲載されている241店舗のうち、Uber Eatsを取り扱うのは29店舗、約12%と決して多くはない。利用している店でもそれに大きく依存しているところはなかった印象だ。こうしたサービスやSNSを利用しつつも、face to faceのコミュニケーションを重視したいという声が多く聞かれた。

    ただ今回取材した4店舗すべてがUber Eats を「今後も利用しつづけたい/これから利用してみたい」と好意的な声をあげている。配達の手間をかけずに済む、店の存在を知ってもらえるといった理由が大きい。

    外にも「出前館」、「楽天デリバリー」など競合他社も多く揃う。今後、こうしたサービスはさらに普及していくことだろう。

    ◇取材・文/赤浦 和

    前編はこちら


    ●取材にご協力いただいた、さいたま市内のお店

    手打ちそば・手打ちうどん・揚げたて天ぷら
    松栄庵

    からあげ・洋食
    大分中津からあげ ぶんごや大宮店

    うどん・ハンバーグ
    武州うどんあかねandみどりダイニング

    カフェ
    クロブチカフェ

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