WordやExcel、PowerPointなどの「Microsoft Office」(以下、Office)のソフトは仕事場ですっかりおなじみ。しかしその価格はかなり高額です。
パソコン購入時からOfficeが付属している場合は、パソコンの代金の中にOfficeの料金(約25,000円)も含まれています。これはOEM版と呼ばれるパソコン固有のライセンス形態で、別のパソコンに移行することはできません。
もちろんOfficeが付属していないパソコンを購入し、後からインストール版のOfficeを入れることもできます。
インストール版のOfficeは買い切り型とサブスクリプション型に分かれていて、Word、Excel、Outlookがセットになったシンプルな買い切り型「Office Personal 2021」の価格は公式サイトで32,784円となっています。
一方、サブスクリプション型(Microsoft 365)だとPowerPointやMicrosoft Teamなども使えます。家庭版なら月1,284円~で、3年も使えば買い切り型の価格を超えます。
長く使うならサブスクリプション版よりもインストール版の方がお得ですが、3万円超えのソフトを買うのはなかなか勇気が必要ですよね。
実は無料で使えるWeb版Officeがある!
ところが、実はOfficeには無料で使えるWeb版もあります。
Web版Officeを使用するのに必要なものはMicrosoftアカウントとインターネット環境だけ。アカウントは無料ですぐに取得できますし、ログインしてブラウザからサイトにアクセスすればすぐにWeb版Officeを利用できます。
Web版 OfficeではWordやExcelはもちろん、PowerPointやOneDriveも無料で使えます。これだと便利すぎて有料版のMicrosoft Officeがいらなくなりそうですよね。
Web版Officeでできないこと、禁止されていること
しかし、残念ながらそんなにうまい話はありません。Web版と有料版のOfficeではいろいろな違いがあります。
例えば、Web版Officeは機能制限が多くなっています。基本的にマクロ機能は使えませんし、フォントの種類やデザイン機能が少ないです。
次の画像をご覧ください。上がWeb版OfficeのExcel、下がMicrosoft 365のExcelです。ほとんど同じに見えますが、Web版の方には「データ分析」「開発」などのメニューがないことがわかります。
マクロ機能が使えないWeb版ですが、逆にいえばExcelのその他の主要な機能はWeb版でも使えるということにもなります。
しかしWeb版と有料版にはもっと大きな違いがあります。Web版は商用利用権を持っていない人が「商用利用」することは許可されていないのです。
商用利用とはビジネス目的で使用することを指します。会社のパソコンで事務作業に使うことはもちろん、在宅勤務での利用、会社で作った資料の持ち帰り修正、個人事業主として自宅での使用などをWeb版Officeでおこなうことはすべて商用利用となり、使用を許可されていません。
ただし、ほとんどのOffice365製品やOffice2019製品にはすべて商用利用権が付属しています。有料版Officeのライセンスを持っている方ならWeb版を商用利用しても問題ありませんし、Office365を契約済みのアカウントでWeb版Officeに接続するとOffice365の画面に切り替わり、機能制限がない状態で使用可能です。
商用利用権を含まないOfficeのライセンスは以下の通り。これ以外のライセンスを所有している場合は商用利用可能ということになります。
- Office Professional Academic (2016 以前のバージョン)
- Office for Mac Home and Student (2016 以前のバージョン)
- Office for Mac Academic (2016 以前のバージョン)
- Office Mobile
- Office for iPad
- Office for iPhone
- Office for Android タブレット
- Office for Android スマートフォン
- Outlook for iOS
- Outlook for Android
- Office Online
(参照URL https://www.microsoft.com/ja-jp/office/homeuse/commercial-use-office.aspx)
※2021年11月現在。最新の情報はリンク元をご確認ください
無料版を使うよりは互換ソフトがおすすめ
「在宅勤務が増えたけどOfficeは高いから買いたくない」という理由でWeb版のOfficeを代用することは残念ながらできません。
商用利用でなければ無料で使えますし、ちょっとした文章を書いたり、グラフを作ったり、簡単なプレゼン資料を作るには充分ですが、仕事に利用できないとなると余りに使い勝手が悪いです。むしろ、私は仕事以外の場面でOfficeを使う場面があまり思いつきません。
「Officeは高いから買いたくない」という方は、Microsoft Officeの互換ソフトやフリーソフトの使用を検討するといいでしょう。私は現在Microsoft Office互換ソフト「WPS Office」を利用しつつ、必要な時だけ月額のMicrosoft 365を利用しています。
有料版のライセンスを持っている人は、OfficeをインストールしているPCが手元にない状況でも、Web版を使って作業できるということを覚えておくと便利でしょう。