実像に迫る!!
副業YouTuber 座談会~スキマ時間で動画投稿/後編

副業YouTuberたちにとって動画投稿はあくまでも副業。本業をおろそかにすることはできないため、動画の撮影や編集に使える時間は必然的に限られてしまいます。

時間制限のあるなかで動画投稿を続けるためにはどんなコツがあるのでしょうか。後編では副業YouTuberたちが普段使っている機材や、動画の制作にかけている時間などについて話を聞いてみました。

これからYouTubeを始めようと考えている人に向けてのアドバイスも必読です!

<座談会参加者>
◎岸昭仁氏(駄菓子屋ゲーム博物館チャンネル チャンネル登録者8900人)
◎西村ひろゆかない氏(西村ひろゆかないチャンネル チャンネル登録者2.55万人)
◎ファミっ子氏(ファミっ子プレイ動画 チャンネル登録者1.05万人)
 進行・文/野島慎一郎(のじまちゃんねる チャンネル登録者1550人)
※チャンネル登録者数は8月17日現在

運用で苦労するのは動画のネタ切れ
コミュニティでファンからの意見を参考に

野島:私は普段の仕事をなるべくそのまま動画コンテンツにし、撮影にも編集にもなるべく労力をかけないことで気軽に投稿を続けられるようにしているのですが、皆さんはチャンネル運用でどんなことに苦労していますか?

岸:私のチャンネルでは主に店内のゲーム機を動画で紹介していますが、紹介できるゲーム機が尽きてしまうことに苦労していますね。永久に続けられるコンテンツではないので。

野島:家庭用ゲーム機のソフトを紹介するのとは訳が違いますもんね。簡単に入れ替えもできないでしょうし。

岸:なので同じゲームでも他の人と対戦したり、いろいろネタを絞り出したりして続けています。でもやっぱり「これでいいのかな?」と思うことはありますね。

ひろゆかない:僕の場合は、AbemaTVやSNS経由でチャンネル登録者が急増したけどその後は停滞、というようにチャンネル登録者数の増え方がゆるやかな右肩上がりではないところですかね。

最初はチャンネル登録者数1000人を目標としてやっていたので、「1000人達成おめでとう!」という瞬間にファンの方が離れていったのも辛かったです……。

岸:一度爆発的に伸びると停滞が辛くなりますよね。

ファミっ子:自分は特に苦労は感じていないですね。急に伸びもしないけど、安定して徐々に上がってきています。

ネタの枯渇問題に関しては、YouTubeにあるコミュニティ機能(※)を使って直接ファンに質問を投げかけて、その意見を拾って動画にすることもありますね。

過去の動画はどんどん埋もれていってしまうので、毎日1本ずつ新しい動画を出すようにしているのですが、最近はYouTubeで得た収益を使ってリサーチや解説の執筆を外注し、それを基に動画を制作することもあります。

※チャンネルの管理者がチャンネル登録者に向けてコメントを投稿したり、アンケートを取ったりできる掲示板のような機能のこと

iPhoneで撮影してそのまま編集 効率を重視した動画制作

野島:皆さんはどんな機材を使って動画制作をしていますか? YouTubeのために買ったものなどあれば教えてください。

ひろゆかない:僕はiPhoneのみ。ライブ配信はMacBook Airでやっていて、動画編集もiPhoneに最初から入っているiMovieを使っています。マイクも照明も使っていないので、本当に最低限です。YouTubeを始めるにあたって買ったものは何もありません。

野島:私も同じくiPhone撮影しiMovieで編集していますね。一応、料理の撮影が中心なので照明や三脚などは買いましたが、機材と呼べる機材はそのくらいです。

パソコンに取り込んで編集したほうが間違いなく質の高い動画を作れますが、いろいろと時間がかかってしまうんですよね。編集も凝りたくなってしまうし、そもそも動画をPCに取り込む時間も意外とかかる。

iPhoneで編集するとなればできることが限られるのでスピードを上げられるし、移動中や風呂に入りながらでも編集できるので効率的なんですよね。パソコンだと作業できる場所も限られますから。

ひろゆかない:やっぱり凝った編集をしたいときもあるんですが、そもそも僕はパソコンができないので、そんなときは友達に頼んじゃいます。ご飯おごるからお願い!って言って(笑)。

MacBook Airの内蔵カメラとマイクでライブ配信を行う西村ひろゆかないさん

照明いらずの高性能カメラで撮影を効率化
ゲーム動画にはキャプチャーボードが必須

岸:私はハンディカムで撮ってパソコンで編集しています。最初はデジカメの動画モードで撮っていたんですけど、途中で2万円のハンディカムを買いました。

ですが、そのハンディカムだと蛍光灯の下での撮影時に暗くなることが多かったので、最近は5万円のハンディカムに新調しました。照明を導入するより、カメラを良くすることで画質の改善させるようにしたんです。照明を買えばもっときれいに撮れるんでしょうけど、毎回セッティングに手間がかかってしまいそうだったので。

ただ、YouTubeでは映像よりも音をきれいにしたほうがいいと聞いたことがあるので、外で撮影するときなどはマイクを使うこともあります。スマートフォンでイヤホンに繋いて通勤通学中などに視聴する人が多いようなので。

岸さんが使用してきた歴代のカメラ

ファミっ子:自分が使っているのはゲーム画面を出力できるキャプチャーボードとパソコンのみです。キャプチャーボードは3万円くらいでした。自分が動画に出ることはないので、カメラを使うことはないですね。

編集にはPowerDirectorという有料ソフト(500円/月)を使っています。あとゲームの解説を喋らせる朗読ソフトも購入しています。それは1キャラ(声)8000円くらいで、キャラを追加すると5000円くらいです。

ファミっ子さんが使用しているキャプチャーボード

撮った動画を無編集で公開することも!
動画1本の制作時間は?

野島:皆さんは1本の動画制作にどのくらいの時間をかけていますか?

私は長風呂が趣味だったりするんですが、iPhoneをビニール袋に入れて入浴中に編集を済ませ、寝る前にiPhoneからそのまま動画をアップロードするようにしています。これなら動画制作があってもなくても日常があまり変わらないんです。

ひろゆかない:僕の場合は動画によってまちまちですが、平均すると1時間くらいですね。5分の無編集動画をそのまま出すこともあるし、ロケした動画とかだと作り終えるまでに2時間かかることもありますね。ちなみに僕も1日1本動画を公開し続けています。

ファミっ子:自分は2〜3時間くらいです。ゲームプレイを含めてそれくらいですね。1日2〜3時間で済むので、投稿することが日課になっている感じですね。

3年半続けているから動画の素材はたくさんありますし、しかもレトロゲームだからネタが古くなることもなく、ずっとそのまま使えるんですよ。なので過去に作った動画を使い回しながらやっています。視聴者にたまに使いまわしをツッコまれますが(笑)。

岸:やっぱり2〜3時間くらいはかかってますね。編集は凝りすぎないで、気楽に続けられるように、を心がけています。凝り始めたら一語一句テロップを入れたり、効果音を入れたくなったりしちゃいますが、編集を凝ったから見られる、っていうこともないので。

やりすぎるときっと本業にも支障が出てきて、そもそも動画投稿を続けられなくなっちゃうでしょうね。

反響があることが一番のやりがい
データを分析すれば本業にも役立つ?

野島:最近はYouTubeチャンネルを開設して動画投稿を始める人がどんどん増えていますよね。しかしそのうち多くの人が投稿を続けられずに挫折している印象があります。

継続するためには本業や生活に支障のない範囲で動画制作をすることはもちろん大切だとは思いますが、ほかに皆さんがYouTubeを続ける上でモチベーションになっていることがあれば教えてください。

岸:コメントや再生数などの反響と、視聴者さんが店に来てくれることがすごく嬉しいです。自分が作った動画を見てくれた人の生の声を聞けるのがやりがいのひとつですね。

逆に反響がないと、「見てもらえているのか」と少し辛い気持ちになります。私の場合、YouTubeを始めるきっかけをくれた友人が自身のチャンネルで紹介してくれて、最初からある程度チャンネル登録者がいる状態でスタートできたので良かったですが、これを本当にゼロから始めるのは結構キツいと思いますね。

ひろゆかない:岸さんのように、反響と評価がモチベーションのすべてだと思っています。面白いと伸びるし、つまらないと全然再生されない。視聴者は正直なので、マーケティングの勉強になります。

アナリティクスを見て分析して、PCDAを回すのが面白いです。チャンネル登録者数が増える動画がどれかを見て研究しています。僕は本業では接客業をしているので、マーケティングや集客の技術は本業にも活かされていますよ!

あともちろん、収入が増えるということも嬉しいです! 収入が見込めなかったら、いくら勉強になるとしてもやっていないかもしれません(笑)。

詳細な動画分析データを確認できるアナリティクス

ファミっ子:自分の場合はもともとゲームが好きでYouTubeをやっていますが、それに加えて再生数や収益を伸ばすこともゲーム感覚で、分析して試行錯誤することを楽しんでやっています。

YouTubeには、YouTubeから評価されるような動画を出すと再生数が増える(オススメとして表示されやすくなる)というアルゴリズムがあるんですよ。そのアルゴリズムを攻略して、再生数が増える動画を作って収益を伸ばすというゲームをしている感覚ですね。

でも難しいのは、「YouTubeがオススメしてくれる動画=ファンに受ける動画」ではないんです。なのでYouTubeがオススメしてくれる動画は低評価が付きやすいです。自分のチャンネルで一番再生数が多い動画は4割くらい低評価なんですよ。

野島:低評価に心を痛める人もいると思いますが、ある意味たくさん再生されたことの勲章のようなものですよね。再生されなければ低評価もつかないですから。

唯一無二のものを発信すること!
YouTubeで成功するためのコツ・ポイント

野島:もしこれからYouTubeで収益を得たいと考えている人に対して、なにかアドバイスできるコツやポイントがあれば教えてください。

岸:正直、人によって合う、合わないはあると思います。私は以前ブログをやってみて合わなかったので、同じようにYouTubeに向かない人もいるんじゃないでしょうか。

あとはそもそも物作りが好きかどうかも関わっているかと。作業として作ることを楽しめないと、面白いものは作れないかもしれないです。あとは、やっぱり反応がなくても続ける根気ですかね……。

収益化とか関係なく、田舎の家族にビデオレターを送るような、軽い気持ちでやってみるのはいいと思います。収益化を目指すのであれば、ある程度気合を入れてやらないと難しいので覚悟したほうがいいです。お金がかからない趣味として考えられるのならオススメですね。

ひろゆかない:反応がないことで続けられない人にとっては、もう界隈が飽和しすぎているので、抜きん出るのは難しいでしょうね。

自分が「西村博之のモノマネといったらひろゆかない!」となっているように、「○○といったら自分!」という唯一無二のものがない限り、やらないほうがいいかもしれません。

YouTube自体は無料でできるしオススメはしますけど、うまく収益を得てYouTubeだけで生計を立てられるようになるのはほぼ無理だと思いますので。

なので、本業のついで、本業の広報感覚でやるといいと思いますよ。例えば、美容師さんがヘアスタイルについて伝授するとか、そういうのは需要があると思います。

ファミっ子:ゲーム実況の場合、今から入っていくのは無理でしょうね。ひろゆかないさんが言っているように抜き出ることができないので。例えば「このゲームで日本一」など記録を持ってないことには。

野島:なかなか皆さん手厳しいですね。今から始めるのは諦めろと言わんばかりのご意見が続いています……。

ファミっ子:ゲーム実況ではなくゲーム紹介系ならまだいけると思いますよ。やっている人自体が少ないので、実際に最近始めて伸びている人もいますから。まあ、ゲームの本数を持ってないとできないジャンルなので狭き門かもしれませんけど。

そんな感じで空いているジャンルを探していけば、成功できる可能性はまだあると思います。例えば、アーケードゲーム紹介とかはまだ少ないはずです。

岸:なんで私がやっているレトロゲーム紹介は伸びないんですかね……?

ファミっ子:1本の動画でレトロゲーム1本紹介ではなくて、まとめて10選とかにすると見られることが増えるかもしれないですね。ブログでも結局10選とかまとめ系が多いし、ブログブームの流れと重なるところが多いと思います。

あとは世の中のブームと合わせて紹介するのもアリですね。自分のチャンネルでPCエンジンの紹介をしたとき、ちょうど「PCエンジンmini」が発表されたタイミングと重なっていて、その頃はPCエンジン特集をよく出して視聴者を増やしました。

大変だけどYouTubeを始めて本当によかった!

野島:皆さんはYouTubeを始めて多少なりとも動画制作に時間を取られているわけで、日常にも何かしらの変化があったのではないかと思います。具体的にどんなことが変わりましたでしょうか?

ひろゆかない:会社帰りに寄り道をしなくなりましたね。「今日はライブ配信しなきゃ」とか思うと、すぐ帰らなきゃって思うようになりました。浪費もしないし、お金は入ってくるし、YouTubeが趣味になって幸せになりました!(笑)

ファミっ子:YouTubeのためにゲームをやるので、積みゲーが消費できるようになりました(笑)。

あと私は自営業なので、どうしても本業の仕事量に波ができます。今までは発注が少ない時期は焦りを感じてしまいましたが、YouTubeを始めてからは「今はYouTubeに専念しよう」と切り替えられるようになりました。

岸:私は動画を作るために日常でもネタ探しするようになりましたね。それは苦労していることでもあるのですが、苦労して投稿した動画を見た人が店に来てくれるのはすごく嬉しいです。YouTubeを始めてなければ店のことを知らなかった人もたくさんいると思うので。

野島:皆さんがYouTubeを始めてよかったと感じているのですね! それでは最後に皆さんの今後の目標を教えてください。

岸:登録者数1万人が次のゴールです。そのあとは銀の盾(※)もほしい!

※ 「YouTubeクリエイター表彰プログラム」という制度があり、多くのチャンネル登録者数を達成したクリエイターは表彰され、盾が寄贈される。銀の盾(正式名称はシルバー・クリエイター・アワード)は登録者数10万人、金の盾は100万人、ダイアモンドの盾は1000万人達成のタイミングで付与される。
https://www.youtube.com/intl/ja/creators/awards/

ひろゆかない:目標は「本物の西村博之さんに会うこと!」……と言ったら会ってくれない天の邪鬼な方なので(笑)、僕も銀の盾がほしいです! あと、認証バッジ(公式マーク)もほしいですね!

ファミっ子:月収800万円目指したいです。今の10倍!

野島:私は引き続き少しでも多くの人に見てもらえるようにチャンネルを大きくしつつ、楽しみながら続けていきたいですね。今回はためになるお話をありがとうございました。


岸昭仁氏
駄菓子屋ゲーム博物館チャンネル(チャンネル登録者8900人)
https://www.youtube.com/channel/UCeZa4kFzsxiwR-YSiSctIjA
板橋にて駄菓子屋ゲーム博物館(https://dgm.hmc6.net/)を経営。YouTubeでは館内の様子やレトロゲームの紹介などの動画を投稿

◇西村ひろゆかない氏
西村ひろゆかないチャンネル(チャンネル登録者2.55万人)
https://www.youtube.com/channel/UC9f_Sow1bNSibe3D5M9lG9g
2ちゃんねる創設者でタレントの西村博之さん(ひろゆき)のものまね動画を投稿。ものまねをしながらのライブ配信も行う。本業は会社員

◇ファミっ子氏
ファミっ子プレイ動画(チャンネル登録者1.05万人)
https://www.youtube.com/channel/UCN0FfOh1g_GfBskgdNFw7rQ
主にスーパーファミコンやPCエンジンなど90年代に流行したゲーム紹介動画を投稿。本業は建築業(自営)

◇野島慎一郎
のじまちゃんねる(チャンネル登録者1550人)
https://www.youtube.com/channel/UCr2VpV9Dhu9VtJ-QBdwi4gw
本業はWebライター。カップ麺のアレンジレシピなどを紹介するYouTubeチャンネルも運営している。今回の座談会ではホストを務めた
※チャンネル登録者数は8月17日現在

2020年春以降、新型コロナウイルスの影響を受けてテレビや劇場での活躍の場を奪われた著名人が続々とYouTubeに参入し始めています。これからYouTubeで成功したいと目論む人にとって厳しい状況となってきているのは間違いないでしょう。

今回の座談会に参加した副業YouTuberたちは、そんな状況のなかでもやりがいとメリットを見つけ、楽しみながら動画投稿を続けている様子が印象的でした。

収益を得ることだけがYouTuberとしての成功ではありません。これからYouTubeを始めようと考えている方は、ご自身にとってのメリットや目的を明確にしたうえで、無理なく楽しみながら動画投稿をしてみてください。
(野島慎一郎)

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